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「グッチ」のサステナブル素材を用いた新作スニーカーを、“流通”と“消費”をテーマに掲げるアーティスト・儀間朝龍がダンボールアートで表現

沖縄を拠点とし、廃棄ダンボールを材料として、スニーカーやレコード、アメリカンカルチャーを作品として生み出し続けているアーティスト・儀間朝龍。その活動は、日本のみならず世界的に注目を集めている。

その儀間が、この度ファッションシーンの中でも積極的にサステナビリティ向上に寄与し続けている「グッチ(GUCCI)」の「グッチ バスケット」スニーカーの新作をダンボールで表現した。このスニーカーは、サステナブル素材の“デメトラ”を使用したモデルで、“グッチ バスケット”の新作だ。

そこで今回は、このコラボレーション作品にフォーカスしながら、“流通”と“消費”をテーマに掲げてアーティスト活動を行う儀間朝龍と「グッチ」のサステナブルへの信念が邂逅した世界を本人のインタビューと合わせてのぞいてみたい。

スニーカーやレコードを手に取った人それぞれが経験していることが違うので作品にするのがおもしろい

——ダンボールを素材として作品を生み出す作家を志したきっかけから聞かせてください。

儀間朝龍(以下、儀間):高校生の頃から美術の専門学校に行っていて、大学も美大を選んだので、ずっと美術がある環境にいました。だから自ずとアートで何かを生み出すことを仕事として生活できればなと考えていました。今はコラージュをやっていますけど、美術の学校には絵画系とか彫刻系とかコースがいろいろあって、僕は絵画系だったので、当初はずっと絵を描いていけたらなと思ってたんです。絵の自信もありましたし。

でも絵ではやり切った感が出てきて、新しいものを生み出すことができなくなったんですよね。悪い言葉を使うと“どん底”みたいな……。そんな時に、住まいの近くに廃棄されるダンボールの切れ端がたくさんあったので、それを使ってステーショナリーとかを作ってみたんです(※現在も「ルボダーン(rubodan)」という名義で、ダンボールでステーショナリーを作り出すことで、雇用を生み出す活動を行っている)。

それである時、絵を描く感覚でダンボールを使ってコラージュをやってみたんです。余りの絵の具で塗った絵にダンボールの紙を当ててみた時に、「これだ!」と思ったんですよね。それで今の作品の原点でもある、キャンベルスープの絵を作ってみようとすぐに取りかかりました。できた瞬間に「新しいものが生まれた!」と感じましたね。

——現在もそのスタイルを継続されていますが、キャンベルスープの缶に始まって、今ではスニーカーやレコードジャケットの作品をたくさん作られていますね。このモチーフは、儀間さんの作風の中で重要なポイントなのでしょうか?

儀間:結果的に強みにはなっていると思いますが、基本的には家の中にあるものを題材にして作ることがほとんどです。家の中なので、趣味のものだったりが多いです。中でもスニーカーは単純に好きで、今となってはスニーカーが好きで良かったなと思っています。

作品を作り始めて感じたのは、スニーカーもレコードも大量に生産されているものですが、人によって同じスニーカーやレコードでも経験していることが違うということ。この曲は中学生の時に聴いてたとか、このスニーカーは初めて買ってもらったものだとか。同じものなのに人それぞれの思い入れが全然違うんですよね。だから、僕個人の思い出で作った作品を展示しているだけなのに、鑑賞者それぞれは思い出を口にしながら見てくれる。それがとても嬉しいんですよね。あとは、家家にあるものを題材に作っているだけなんですけど、作品全体で見ると僕の好みや趣向が見えてくるところもおもしろいですよね。

儀間が制作した作品

作品を見た人が家にあるものがどこからかダンボールに入って運ばれて来たんだ、と考えるきっかけになってくれればいい

——儀間さんがアーティスト活動のテーマとして掲げている“流通”と“消費”が、今回の「グッチ」とのコラボレーションでは、大きくリンクしている部分があると思います。儀間さんの活動の中でサステナブルを意識されていることはありますか?

儀間:SDGsやサステナブルという言葉は、現在のスタイルでの作家活動を始めた頃にはまだ多く聞くこともなかったです。だから、サステナブルを目的として作家活動をしてきたかと聞かれると、それは違うと思っています。ただ、時代的に僕の表現方法が当てはまったという感じはしています。

“流通”と“消費”というテーマは、普通に家にあるものを見ていて、これはどこかから運ばれてきたんだよな。運ばれてくる時にはダンボールに入って来たんだよなって考えるところから始まっています。それと同時に(ダンボールが)ゴミになる姿も見てきました。なので、こういったことをもっと見ましょうよ、と伝えたいわけではないんです。僕がまず一番大事にしているのは、作品としてのカッコよさ。

ただ、その作品を見た人から、「これ何でできてるの?」と聞かれた時に、「ダンボールです」と答えて会話が始まり、見た人が家に帰って部屋の中を見回した時に、僕と同じようにこれってどこから来たんだろう? と考えるきっかけになってくれたら嬉しいです。

——サステナブルを直接訴えかけるのではなく、作品を通して考えるきっかけになってほしいということですね。

儀間:そうですね。僕がこのスタイルになったのは、那覇の市場のそばに住んでいて、ダンボールが手に入りやすい環境だったというのも大きいんですよね。僕は10年近くダンボールを収集し続けているので、作品をいろんな色で表現できていますけど、明日からダンボールでコラージュをやってみよう! と思い立ってもなかなか難しいと思います。

——続いて今回の「グッチ」の新作スニーカーを作品として表現するにあたり、これまでのスニーカー作品と違う点などはありますか?

儀間:スニーカー自体に、僕の好きな1980年代、1990年代のバスケットボールシューズのテイストがちりばめられていたので、アレッサンドロ・ミケーレはすごくスニーカーが好きな人なんだろうと感じました。なので、スニーカー好きからも共感を得られるデザインですよね。この1980〜1990年代のスニーカーって、難しすぎず簡単すぎずと、作るのも好きなんです。サステナブルパーツがサステナブルな素材になって随所に使われているのもいい。そんなところもしっかり表現されているスニーカーだったので、作っていて楽しかったですね。

僕は、パーツによって重ねるダンボールの枚数も変えたりして、厚みの変化で立体感を出しているんですけど、そうするためのパーツごとの切り出しの作業には時間がかかるんですね。でもそこが上手くいくと、いい作品に仕上がります。

今回、いつもの作品と違うようにしたところは、同じ色の部分を同系色でまとめてみたんです。いつもは反対の色の文字を貼るなどして、アクセントにしたりするんですけど、今回はあえてすべて同系色で表現しました。なので落ち着いた感じがあって、ちょっとゴージャスに見えるように意識しました。あとはかかとの部分の影で落ちるところにダンボールの素材が見えるような表現をしていて、これもこれまでの作品とはちょっと違ったアレンジをしたポイントですかね。

——現在、ファッションシーンにおいてもサステナブルは重要なキーワードになりましたが、その様子を見ていて儀間さんが思うことはありますか?

儀間:僕はスニーカーに関して、1970年代くらいのモデルからは浅いながらも知識を持っているんですけど、時代の流れに合わせてデザインや作り方、素材が変化していってるんですよね。だからその変化の1つとして、現在はサステナブルというキーワードが入ってきたのは自然な流れかなと思っています。環境に配慮して、原料やエネルギーを削減するのはもちろんサステナブルで大事だと思います。でも人が働く時間を例えば、10時間働いていたのを6時間で済ませるにはどうしたらいいんだろう? と考えて効率を上げたりするのも、持続可能=サステナブルにつながると思うんですよね。

だから「グッチ」のようなリーディングブランドが、サステナブルな素材を使ってプロダクトを生産しているとアピールすることはファッションシーンはもちろん、地球全体にとっていいアクションだと思います。これからもそういった動きで引っ張っていってほしいですよね。その影響は、一般の人達にも波及していくはずですから。

「スニーカーの中でもバスケットボールシューズが特に好きで、自分の作品でもよく制作します。1980〜1990年代によく使われるようになったプラスチックのパーツがサステナブル素材のデメトラで表現されていて、それをダンボール素材でどう伝えるかを考えるのが楽しかったです。今回は単色のグラデーションにこだわってシューズのカラーを表現しています」(儀間)

儀間朝龍(ぎま・ともたつ)
“流通”と“消費”をテーマに、廃ダンボールを素材にコラージュ制作するアーティスト。アメリカンカルチャーやスニーカーシリーズ、レコードなど、身近な物をモチーフとし、展覧会を中心に発表を行うが、国内外問わず雑誌の表紙や広告制作などにも作品を提供。

環境への負担を軽減した革新的でサステナブルな新素材を採用した“グッチ バスケット”スニーカー

儀間がダンボールで表現したスニーカーは、「グッチ」のクリエイティブ・ディレクター、アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)がバスケットボールからインスピレーションを得てデザインを手掛けた“グッチ バスケット”の新作モデル。カラーとファブリックが異なる3モデルは、ボディに非動物性由来で再生可能なバイオベース原料が中心のオリジナル素材“デメトラ”を採用している。ヴィンテージ風の加工が施されるなど、ディテールにもこだわっている。IDタグが付属する。
なお「グッチ」は、2018年より自社サプライチェーン全体でカーボンニュートラルを維持しているほか、 森林やマングローブ林の保護と再生、環境再生型農業への投資など、自然環境にポジティブな変化を生み出す取り組みを継続している。 7月には、エレン・マッカーサー財団の戦略的パートナーとなり、サーキュラーエコノミーへの取り組みを加速させることを発表したばかりだ。

「グッチ」のスニーカー 各¥134,200

グッチ ジャパン カスタマーサービス
0120-88-1921

Photography Shinpo Kimura[STILL]
Edit Wataru Matsumoto (PineBooks inc.)
Motion & Sound Shigeru Suzuki (THE ME)
Produced by TOKION for GUCCI

author:

TOKION EDITORIAL TEAM

2020年7月東京都生まれ。“日本のカッティングエッジなカルチャーを世界へ発信する”をテーマに音楽やアート、写真、ファッション、ビューティ、フードなどあらゆるジャンルのカルチャーに加え、社会性を持ったスタンスで読者とのコミュニケーションを拡張する。そして、デジタルメディア「TOKION」、雑誌、E-STOREで、カルチャーの中心地である東京から世界へ向けてメッセージを発信する。

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