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日本の「オニツカタイガー」とイタリア人デザイナーが描いた「今、世界が待ち望んでいる希望」

6月以降続いている2022年春夏コレクションの発表を見ていると、昨年との大きな変化に気付く。あるデザイナーは自信満々に、別のデザイナーは誰かの顔色をうかがいながら“恐る恐る”ではあるが、「そろそろ、明るい未来を思い描いてもいいよね?」「今、世界が待ち望んでいるのは希望だよね?」「僕達の仕事は、それを洋服という形にすることでしょう?」というマインドだ。

振り返れば、1年前のファッション業界は、もう少しシリアスだった。もちろん、デザイナーは未曽有の危機に晒された私達の恐怖心をあおったりはしない。ただ2021年春夏シーズンは、“おうち時間”の心地よさ&楽しさや、包み込むことで身体を守るという洋服の機能、物理的に分断されてしまった私達に贈る共生のメッセージなどが大きなインスピレーション源となった。

2021年春夏コレクションの制作期間は、2020年の春頃。世界中がロックダウンを始めた頃だった。自身も身の危険を感じたり、心の奥底では悲観的な思いを抱いたりしていたデザイナーも数多い。そんな思いを吐露するデザイナーから生まれたクリエイションは、私にファッションの社会性を印象付けた。しばらくすると、社会はウイルスの変異や一連の対策に対する見解の相違などで混迷の度合いを深め、ファッション&ビューティ業界はもちろん社会全般において「希望を安易に語るな」というムードが広がりそうになった。比較すると2022年春夏は、もっと素直に、今もいろんな考えがあるけれど、それらを踏まえてもなお果敢に「希望を発信したいよね」という方向性に転じている。
一業界人として、ファッション業界のアツい想いが素直に届き、1人でも多くの人が来年は今よりハッピーに暮らしていければと願っている。

ピュアに「希望を発信したいよね」と考え、コレクションで素直に、そして、その発表方法でもブレることなく想いを届けてくれたのは、アンドレア・ポンピリオ(以下、アンドレア)がクリエイティブディレクターを務める「オニツカタイガー」だ。

「オニツカタイガー」2022年春夏コレクションフィルム『MILAN-TOKYO』

感染症対策で静まり返る街が、未来に向けて動き始めた

アンドレアは2022年春夏シーズン、自身の故郷のミラノから「オニツカタイガー」のコレクションのみならず、堀田英仁監督とムービー『MILAN-TOKYO』を制作してミラノ・ファッション・ウイークで発表。そうそうたるラグジュアリーブランドが名を連ねる世界で、スポーツインスパイアドファッションブランドが日本代表としての存在感を放った。

コレクション&ムービーで表現したのは、「東京の『静』と『動』」。感染症対策で静まり返る街が、未来に向けて動き始める様子を描いたという。アンドレアは、「僕にとっての東京はダイナミックな『動』の街だが、ときどき顔をのぞかせる『静』の側面も魅力的だ。車でドライブすればあっという間に駆け抜けてしまう歴史的な名所は、実際足を運ぶと歴史を回顧できるリラックスした空間。静かな朝を迎えたかと思えば、やがて通勤ラッシュが始まり、またエネルギッシュな一日が始まる」と話し、体感した「東京の『静』と『動』」の表現が、困難を克服して新しい時代に向かう今の世界にふさわしいと語る。
今シーズンのクリエイションは時流にフィットした、アンドレア流の「明るい未来」への道程だ。

世界規模のロックダウンは長期間に及んだが、アンドレアは「実際過ごしてみたら、あっという間でもあった」と振り返る。そして「家事から、世界中のファッションを志す学生とのSNSでの対話まで、デザイナーになって15年という長い期間にできなかったことを思いっきり楽しんだ」とも振り返る。デジタルでの対話で、若者とのコミュニケーションで感じたバイブスやピュアな志が、新時代のクリエイションのヒントになったのだろう。アンドレアは2022年春夏シーズン、もう一度原点に立ち返り、「オニツカタイガー」とは何か? と考えることから始めたという。

「オニツカタイガー」とは、何か? ある人は鬼塚喜八郎という「スポーツには、人生を変える力がある」と信じた男を想像するかもしれないし、ある人はオリンピックのたびに世界を驚かせたシューズの機能性を思い浮かべるだろう。別の誰かは、スポーツをライフスタイルやファッションに落とし込んだ立役者というイメージを持っているかもしれない。アンドレアは、そのすべてを最新のコレクションに詰め込んだ。

2022年春夏コレクションは、誰かの人生を変えるかもしれないほどパワフルで、機能性に満ちあふれ、ファッション性が高く、私達のライフスタイルにフィットする。そのすべてを「東京の『静』と『動』」で表現した。

多面的に表現された「東京の『静』と『動』」

「東京の『静』と『動』」。相反する魅力は、2022年春夏コレクションの中で多面的に表現された。全25ルックというコンパクトなコレクションは、グレーを主体とする落ち着いたカラーパレットからスタートする。その色は、アンドレアが「美しきメトロポリス」と話す東京の高層ビルの色だろうか? それとも夜明け前、まだ闇に包まれ眠りから覚める前の「静」の象徴なのだろうか? 序盤はジャケット&パンツというセットアップも多く、その姿はエレガントだ。しかしコレクションは中盤、そして後半へと進むにつれて、一気に「動」の雰囲気を増す。ネオンのように鮮やかな多色使い、肌見せもいとわないアクティブで「オニツカタイガー」らしいスポーティなスタイル、そして何よりブランド名に由来する“タイガー”のモチーフ。“タイガー”というシンボルを再解釈したのは、「オニツカタイガー」とのコラボレーションがスタートした時以来だ。
アンドレアは、「あの時は、シューズにユーモアをプラスしたくて、“タイガー”のチャームをプラスしたんだ。今回は、コレクションの主役に据えている。2022年は、寅年だしね」と言う。“タイガー”モチーフをふんだんに盛り込んだのは、機能性に富んだレトロムードなマルチウエアだ。

パッカブルでバッグのように持ち運べるフーデッドブルゾンなど、マルチユースなアイテムが多い。アンドレアは、「マルチに楽しめる洋服は、何度も着る洋服になるだろう。みんなにとって、サステナブルな選択になると思ったんだ」と話す。

アクセサリーは、クラシックなハイカットシューズから、コンフォートテクノロジーを取り入れたラギットなソールのサンダルまで。堂々たる佇まいの王道から抜群のインパクトに新提案までバリエーション豊かだ。グレーから“タイガー”へ、エレガンスからスポーティへ、王道から新たな提案まで、そして1着の洋服も変幻自在に。「東京の『静』と『動』」を表現したコレクションは、さまざまな顔を持つ個々人、多彩な生活を送る世界中の人に寄り添ってくれる。

日本への想いが強いからこそ色濃く表れたノスタルジー

2022年春夏のコレクション&ムービーは、ノスタルジックでもある。ブルゾンのライン使いにはレトロスポーツの源泉となった1970年代のムードが漂っているし、ミニ丈のスカートやショートパンツ、モックネックのトップスもどこか懐かしい。そしてそのムードは、2021年に撮影したにもかかわらず街のネオンがなぜか郷愁さえかき立てるムービーにも流れている。道路脇に並ぶタクシーは、今時のロンドンタクシータイプではなく、セダン型だ。そのムードは、東京のリアルでありながら、東京を知り尽くした日本の若者が観ても新しい。そして、世界の若者には、最先端の東京と、彼らの故郷にも通じるノスタルジックな東京の双方を伝える。現職に就任以来、来日を繰り返してきたアンドレアにとって、2年も日本を訪れていないのは、きっとひさしぶりのこと。「早く日本に行きたくて仕方ないよ!」と話すほど想いが募るからこそ、思い出が次々湧き上がり、ある種の郷愁、ノスタルジックなムードにつながったのだろう。

ムービーは、全編日本で撮影。監督はインディペンデントなメディアで映像の企画や監督を務めたあと、近年はOZworldやMIYACHI & 釈迦坊主など数々のミュージックビデオからドキュメンタリーまでを手掛ける映像作家の堀田英仁が手掛けたが、アンドレアもミラノから遠隔でディレクション役を担った。「日本の『オニツカタイガー』チームのおかげで、僕が届けたかったメッセージのすべてを盛り込むことができた」と胸を張っている。ただ、彼自身はこの後、もっともっと明るい未来を思い描いている。「この洋服を身にまとう頃には、いろんな問題はもう少し解決されているだろう。そうなれば、また日本を訪れ、そのあとはミラノでいよいよ『オニツカタイガー』のリアルなファッションショーを開きたい。きっと、エモーショナルなイベントになるよ」。

未曽有の危機にも怯まず、常に前を向くアンドレア。そんな彼から生まれる「オニツカタイガー」の最新コレクションが冒頭で話した通り、「今、世界が待ち望んでいる希望」を届けてくれるのが、今から楽しみで仕方ない。

アンドレア・ポンピリオ
「オニツカタイガー」クリエイティブディレクター。イタリア生まれのデザイナー。父親は建築家、母親は画家、祖母はブティックのオーナーという環境で育ち、幼少の頃からファッションデザイナーを志した。ミラノの名門マランゴリーニでファッションを学び、有名ブランドで経験を積んだのち、2011-2012年秋冬シーズンに自身の名前を冠したブランドでデビュー。「オニツカタイガー」とのコラボレーションを経て、クリエイティブディレクターに就任した。

村上要
「WWDJAPAN」編集長。静岡県出身。静岡新聞社会部の記者を経て、渡米。帰国後、INFASパブリケーションズに入社。2021年4月から現職。ファッションとジムをこよなく愛す。

問い合わせ先
オニツカタイガージャパン お客様相談室 0120-504-630

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TOKION EDITORIAL TEAM

2020年7月東京都生まれ。“日本のカッティングエッジなカルチャーを世界へ発信する”をテーマに音楽やアート、写真、ファッション、ビューティ、フードなどあらゆるジャンルのカルチャーに加え、社会性を持ったスタンスで読者とのコミュニケーションを拡張する。そして、デジタルメディア「TOKION」、雑誌、E-STOREで、カルチャーの中心地である東京から世界へ向けてメッセージを発信する。

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