一ノ木裕之, Author at TOKION - カッティングエッジなカルチャー&ファッション情報 https://tokion.jp/author/hiroyuki-ichinoki/ Fri, 02 Dec 2022 02:12:27 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.3.2 https://image.tokion.jp/wp-content/uploads/2020/06/cropped-logo-square-nb-32x32.png 一ノ木裕之, Author at TOKION - カッティングエッジなカルチャー&ファッション情報 https://tokion.jp/author/hiroyuki-ichinoki/ 32 32 <嵐の前の静けさ>を越えて進むYoung Cocoのこれから https://tokion.jp/2022/12/03/interview-young-coco/ Sat, 03 Dec 2022 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=158297 ヒップホップシーン全体の沈んだムードをくつがえすべくYoung Cocoが放ったアルバムと、彼の道のり。

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<嵐の前の静けさ>を越えて進むYoung Cocoのこれから

前作『05:56 KOKORO』のメロディアスな作風からハードな路線へとかじを切った最新アルバム『The quiet before the Storm』を今年発表したラッパーのYoung Coco。アーティストのVERDYがアートワークを手掛けた本作リリース後も、変わらぬペースで彼は日々、音楽に向かっている。自身の成功はもちろん、日本のヒップホップも世界の音楽地図に載せるべく、彼は走り続けている。

2022年も残りわずかとなった今、彼にアルバムの話からラップに出会ったルーツのエピソードなど、Young Cocoのこれまでとこれからを聞いた。

Young Coco(ヤング・ココ)
兵庫県出身のラッパー。変態紳士クラブの活動でも知られるWILYWNKA(ウィリーウォンカ)とのユニットでキャリアをスタートしたのち、関西でトラップムーブメントをけん引するHIBRID ENTERTAINMENTに所属。Jin Dogg(ジン・ドッグ)らとともにその一翼を担い、海外からも注目を集める。精力的なリリースと合わせて、海外勢とのコラボレーションやアジア各国でのライヴなど、活動の幅を国内から海外へと広げている。
Instagram:@youngsavagecoco
Twitter:@Coco_137_jpn

スケボーをきっかけに足を踏み入れたヒップホップ

——まずはヒップホップとの出会いから聞かせてください。

Young Coco:小学校の友達と遊んでる時に公園でスケボーを拾って本格的に(スケートボードを)やりだして、うまくなりたいなと思ってYouTubeで探した動画のバックにかかってたのが、ヒップホップ。それがめっちゃカッコよくて、オーディオにして聴いてました。今思えばそれがたぶんナズ(Nas)とかビギー(=The Notorious B.I.G.)で。

——その後、ラップするきっかけはWILYWNKAさんとの出会いだそうですね。

Young Coco:中学生の頃に出会って、一緒にスケボーしてるうちにTAKA(=WILYWNKA)が中3ぐらいん時から徐々にバトルとか出てたんかな。それを観に行くようになって、「お前もやってみいや」みたいな感じで。当時地元でサイファーしてた先輩からも「ラップやりいや。若い子でやってるやつおらへんし」って。

——その頃、周りの同世代でラップしてたのはWILYWNKAさんくらいですか?

Young Coco:そうですね。レゲエの歌い手は結構若い子もいたんですけど、「高校生ラップ選手権」が始まったぐらいに若いラッパーも増えだしたイメージです。その頃俺はコットンマウス・キングス(Kottonmouth Kings)みたいなミクスチャーっぽいのをよく聴いてたんですけど、そっからリル・ウェイン(Lil Wayne)とか「Young Money Entertainment」周辺を聴くようになって、ヤング・サグ(Young Thug)とかタイガ(Tyga)とかを知ったんですよ。その頃の新しいサウスの風にメチャメチャ食らって、より向こうのカルチャーに影響を受けるようになりました。

目的のない日々から、音楽とともにある生活へ

——活動初期の頃とは違う今のスタイルも、そこが出発なんですよね? HIBRID ENTERTAINMENTでの活動はその頃からですか?

Young Coco:ただ、ハイブリッド(=HIBRID ENTERTAINMENT)としてやりだした当時は、「これで行くぞ!」みたいなのはなかったし、ヒップホップがここまではやるとも思ってなくて、親も「そんなんで食っていけるわけないやん」みたいな感じやって。

——続けていく中で、今は音楽に対してはどんな思いを持っていますか?

Young Coco:人生でここまで真剣に続けられたことがないので、音楽やるために生まれてきたんやなみたいに今は思ってます。それまでは目的もなく漠然と生きてたんですけど、周りを安心させれたらいいなとも思うようになったんですよね。周りがサポートしてくれてなかったらそういう気持ちにもなんなかったと思うんですけど……。

——今、毎日曲作りをされてるのもそういうことなんですね。まさに音楽と生活が地続きと言いますか。

Young Coco:さぼったら体がなまるというか、脳みそがなまるというか(笑)。毎日やらないと気分悪くて、例えばどこかに遊びに行くってなっても、それ(=音楽)だけはしてから行きたい。やることによって確実に他とは違う曲ができてるって周りのみんなとも言ってて、そこは自信につながってます。

コロナ禍で停滞したシーンを揺さぶるアルバム

——今回の『The quiet before the Storm』もいわばその毎日から生まれたアルバムになりますね。アルバムのアートワークをVERDYさんにお願いした経緯を聞かせてください。

Young Coco:コロナ禍前の2019年くらいに彼がtokyovitaminVickと大阪でポップアップをやってて、共通の友達がいたからそこに遊びに行ったんですよ。そこで初めて2人を知って、その次の週ぐらいにはVickと上海にライヴしに行ってました(笑)。

——会ってすぐに意気投合したわけですね。VERDYさんとも思いを同じくする部分がありましたか?

Young Coco:大阪にはこんなにカッコいいスケーターとかいっぱいおんのに、東京にメチャクチャ仕事が行ってるのが悔しくて東京に行ったって話を聞いて。昔っから彼がパンクのデザインとかやってたりした流れを知ってたら、そこはわかると思うんすけど、パッと見笑顔で優しいイメージだけど、そういう反骨精神を持ってるとこはめっちゃ似てるなあと思いましたし、一緒にかっこいいもん作っていきたいねみたいな。

それで、コロナで破壊されたシーンに発信するっていう自分のコンセプトとタイトルを伝えたらめっちゃいいって言ってくれたので、デザインは彼の才能に任せました。

VERYがデザインを手掛けたYoung Cocoのアルバム『The quiet before the Storm』

——アルバムの内容としてはどのようなものを考えてましたか?

Young Coco:前回の作品(『05:56 KOKORO』)は、コロナ禍が始まった時ぐらいに作り出したんですけど、地球全体がマイナスな感じやったし、クラブも閉鎖してる中で例えば、クラブで酒飲むって曲とか、ライヴできひん中で俺らめっちゃ稼いでるぜみたいな音楽がマッチしないってなった時に、ちょっとでも俺の音楽聴いて明るくなってくれたらいいなと思って作ったんです。

それで「No Pressure!!!」のようなみんなが歌える曲ができたから、今回はライヴを意識した荒々しい曲をいっぱい入れたいなと思って作りました。

Young Coco 「No Pressure!!! feat.LEX」

——ダークなムードをまとったEP『NOT REGULAR』から、風通しよい『05:56 KOKORO』を経て、本作は閉塞感を突き破るものでもあって。

Young Coco:そうですね。俺らがラップを始めた時って、ヒップホップがめっちゃダークなイメージやったんですよ。でも、今の子らがヒップホップ始めたりラッパーになったりするってなった時に、俺も出してますけど、歌モノみたいな曲を聴き始めてスタートする子がめっちゃ多いと思ってて。iTunesとかSpotifyのヒップホップのプレイリスト見ても全部歌モノでキラキラしてるから、そこにUSのヒップホップと変わらへんリアルな音楽を放りこんで「これなんや?」ってなってくれたらいいなと思って。それで今回はハードなやつを詰め込んでみました。前回歌モノ系を出したから、今回はラップ系出して自分のリスナーが何が好きなんかを見たいっていうのもありましたし実際、今回は今回でめっちゃ反響ありますね。

Young Coco 「Galaxy!」

世界の音楽シーンの中に「日本人」枠を作るべく走り続ける

——ヒップホップも時代とともに移りゆく中でCocoさん自身はヒップホップをどんな音楽ととらえてますか?

Young Coco:やっぱり過去の人らとかカルチャーを大事にする音楽で、どの口が何言うかが肝心。人間として先輩後輩からリスペクトされて、ちゃんとカルチャーを受け止める音楽をやってるやつらがヒップホップなんかなあと思いますし、いきなり現れたやつがいくら今までストリートでやってきたって言ってもダメ。そいつ自身にストーリーがないのにキラキラしたものだけに合わせて作る音楽は、ヒップホップじゃないんかなと思いますね。

——活動してきた中でご自身に変化はありませんか?

Young Coco:探求心がすごい増えた気がします。年重ねるごとにこんな音楽やりたいわとかまだ全然できてないなって思うことがめっちゃ増えてきて……。もっと突き詰めた作品も作りたい。

——今後についてはどうでしょう。自分はどんなアーティストでありたいと思いますか?

Young Coco:どうやろ……。音楽に対する気持ちを薄れずに、年相応に進化していきたいとは思いますね。アーティストが聴くアーティストみたいな。ジャンルは違うけど、ディアンジェロ(D’Angelo)とかテイム・インパラ(Tame Impala)とか、ああいうふうになれればなあみたいな。あと楽器はできるようになりたいかも。ロックにはめっちゃ興味あるから。

——へえ、そうなんですね。もともとリスナーとしてロックも聴いてたんですか?

Young Coco:スケボーやってた時からロックは結構聴いてたし、「No Pressure!!!」とか「ホンキ!」とか自分の歌系の曲も結構ギター系の曲ってなってくると、年重ねてアコースティックとか弾いてたらシブいなあって。ドラムとかもやってみたいし。

——ロックのどういう部分に惹かれますか?

Young Coco:ロックのほうがヒップホップよりめっちゃ自由やなって思ってて。日本でもロックがずっと第一線にあった分、ロックの歌詞って「あなた」とか「きみ」を入れずにわかるような表現がすごいうまい。そういうのを自分に取り入れていきたいなあと思いますし、ヒップホップのフィールドでやったらこの言葉は合わんけど、ロックのトラックやったら合うよねって歌詞もあるんで。

——影響や刺激を受けるロックのアーティストはいます?

Young Coco:リリックとかスタイルに影響受けるとかはないですけど、めっちゃ好きなのはターンスタイル(TURNSTILE)っていうバンド。白人が歌ってるロックが好きなんかもしれないですね、4つ打ちとか日本の歌謡曲も全然聴きますけど。あと俺、浜田省吾、好きなんですよ。あの時代の人ってリリックとか表現方法とか今の子と比べてだいぶ感じるもんがあるんで、インスピレーション受けますね。

——意外ですね。じゃあ今後は浜田省吾イズムが曲に流れこむことも……。

Young Coco:あるかもしれませんね。あの人は文字を伸ばして歌うイメージがあって、自分も声張って作ることが多いんで、そこはインスピレーション受けてるし、あんまメディアに出ないのもカッコいいすよね(笑)。

——ともあれ、変わらぬ制作ペースで今後もリリースが続きそうですね。

Young Coco:リリースしてない曲が多過ぎて、次は2作か3作同時に出そうって話もしてるし、まだまだ突き詰めていくからみなさんにはついてきてほしいです。今、自分らの好きな音楽がはやってるのは幸せだけど、俺より有名なアーティストがいっぱいいる中で、俺みたいなことを10年後、20年後やりたいと思ってる子にも音楽を続けれる環境を作れればめっちゃいいんちゃうかなと思う。そのためにも突っ走り続けるし、これをいっときのものにしないために自分らが今やることはいっぱいあるんで。

——ライヴをはじめ海外の活動やコラボレーションなどもこれまで同様、チャンスがあればという感じですか?

Young Coco:そうですね。世界に行っても中国人のアーティストとかインドネシア、フィリピン、タイのアーティストはいっぱいいるんすけど、日本人の枠が全然ないんで、そこは作りたいですよね。昔はシーンで誰かが「1人勝ち」みたいな感じが結構多かったと思うんすけど、日本のヒップホップのシーンって世界的に言ったらまだまだ全然小っちゃいんで、俺だけがカッコいいだけじゃもう成り立たない。やっぱみんなの力を借りてこのシーンをおっきくしたいなって思います。

Photography Takaki Iwata

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コミカルかつアッパーな曲でchelmicoが導く、夢を見られるような世の中 https://tokion.jp/2021/12/30/interview-chelmico/ Thu, 30 Dec 2021 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=86421 自分達も鼓舞するような楽曲「三億円」とワンマンライヴで再び動き出したラップユニットchelmicoの現在地とこれからを聞く。

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Mamikoが鈴木真海子名義でソロのリリースやライヴをこなしていたものの、ユニットとしては、Rachelの結婚・妊娠にともない、ライヴといった表立った活動を2021年春から休止していたchelmico(チェルミコ)。

2人が、11月にひさしぶりの有観客ワンマンライヴとそれに合わせたデジタルシングル「三億円」で再スタートを果たした。気ままでキャッチ―な楽曲はまさに「お帰り」と言葉をかけたくなる仕上がり。タイミングを合わせたわけではもちろんないだろうが、さる10月にはイギリスのベテランミュージシャン、エルヴィス・コステロが、英ガーディアン誌のコラムで、アニメ『映像研には手を出すな!』への賛辞とともに、その主題歌であるchelmicoの「Easy Breezy」を「very cool」と評したことも話題になったばかり。

気取らぬ2人に変わりはないようだが、そうした状況も1つの追い風だとすれば、「三億円」で吐露した思いもなんら夢ではなくなるはず。
そしてまた、彼女達の世界がさらに広く評価されるだろう。

メジャーデビュー~環境の変化とコロナ禍で「成長した3年」

——メジャーデビューから3年あまりですが、振り返ってみていかがですか?

Mamiko:Rachelが結婚と出産をしたっていうのは大きかったよね。

——やはり制作面などにも影響はありましたか?

Mamiko:曲作りの変化はあんまなさそうな気がする。Rachelも忙しくて書けないかと思いきや、意外と制作もできてるから(笑)。

Rachel:むしろ少ない限られた時間の中でいいものを作りまくりたいってずっと頭ん中でラップのこと考えてる感じですね。

——そうなんですね。子育てとの両立は大変なんじゃないかなと想像していました。

Rachel:物理的に時間は取れないんで、逆にメリハリ(がある)っていうか。だからホントに今仕事サイコー。こうして集まって音楽の話ができるのもホント幸せで、今までよりも大好きになりましたし、今が一番楽しいかもくらいですね。

——それは何よりです。

Mamiko:よかったねえ(笑)。

Rachel:よかった(笑)。自分にとってはすごいプラスになったし、ずっと「こんな曲作りたいなー」とか考えて、急いで出すみたいなスタイルになったんですけど、案外自分もやれるねえって感じで(笑)。

——はは。Mamikoさんにしてもソロのリリースやライヴがあったりしましたよね。

Mamiko:そうですね。楽しいですよ。ソロはchelmicoとはまったく違うジャンルだし、ラップじゃなく歌なので。chelmicoの制作とソロのライヴがかぶった時はモードの切り替えが難しかったけど、それはそれでいい経験でした。今はライヴも落ち着いたし、制作がすごい好きなんで、あとは制作期間にできたら嬉しいです。

——個々のそういった環境の変化もですが、ここの3年でいうと、何よりその多くをコロナ禍が占めてますよね。活動がままならない中で気持ち的にはどうでした?

Mamiko:しんどかったっすね。ただ、ライヴできないし気持ちも滅入るけど、「休めてラッキー!」っていう気持ちもあったかな(笑)。「集中して好きなことできる」って。

Rachel:音楽作るぞって感じでね。実際、コロナ禍の中で出した『maze』の何曲かはその影響でクラブの思い出を書きましたし、基本的に日記みたいな感じで曲を出すことが多いので、どうしても曲には反映されます。ただ、それこそMamiちゃんもソロ出したし、楽曲への関わり方はやればやるほど身につくので、すごい成長した3年間だったかな。

——では、3年の間に音楽への向き合い方が変わったりはしました?

Rachel:今まではトラックメイカーにトラックをもらって「じゃあそのトラックで書くわ」って感じでしたけど、それが「こんなのをやりたい」とか言うようになり、具体的にそうするためにどういう音色とかどういう音楽のジャンルにするとかっていうところを話すようになりましたね。ミックスや歌詞に対してもどんどんこだわりが増え始めて、それを実現するノウハウ、経験を積んでいます。

——それは音楽の志向が変わってきたっていうこともありますか?

Mamiko:そこはそんな変わってないけど、気分は揺れ動いてますね。前回は結構ゆったりめのEP(『COZY』)を出したんですけど、今回の「三億円」はバッキバキのビートでイメージが変化してるように見えるかも。

アゲアゲな「三億円」と、楽曲を楽しむchelmicoらしさ

——確かに今回の「三億円」は、『COZY』のいわばすっぴんに近い穏やかなムードとは真逆ですよね。ただ、それも意図的に変えたわけではないんですね。

chelmico 「三億円」

Mamiko:そうです。いろんな種類の音楽を聴くので、その時その時のマイブームみたいな感じですかね。「三億円」は復帰1発目みたいな感じだったので、気分的にも結構アゲアゲで、強めな気持ちで行きたいなっていうのがあって。その中でもRachelが好きな雰囲気の曲が速かったり、強かったりするので、Rachel色強めでやろうっていうのが勝手に自分の中であったんです。だから「三億円」にはRachelのほうに熱い気持ちがあるかな(笑)。

Rachel:そうだね。Mamiちゃんにはソロもあるけど、chelmicoではこういうこともできるよっていうので、逆張りじゃないですけどchelmicoならではの元気さが出る曲になったらいいなと思ってましたし、何よりライヴでやるってことも決まっていたので。

——ともあれ、chelmicoらしいといえばchelmicoらしいキャッチーな曲ですよね。お2人自身はそもそもchelmicoらしさをどういうものと捉えていますか?

Mamiko:chelmicoらしさ……なんですかねえ。でも、やっぱ歌詞なのかな?

Rachel:そうね。楽曲面でいうとホント、バラッバラだからね(笑)。chelmicoらしさってさてなんだろうって思いながらも、歌詞とか楽曲のテイストで嘘はつかないっていうのが1個あって。やりたくないことはやらないし、使わなそうな言葉遣いとかは無理して使わないっていうのは私達らしさかな。

Mamiko:好きなことをやってるのがchelmicoらしいよね。

——「三億円」もその点ではまさにですね。MVにしても楽しそうです。

Mamiko:でもテーマに関しては、最初はもうちょっと「逃げ出したい」みたいな感じでネガティヴだったんですよ。それこそコロナの話なんですけど。でも結局突き詰めていったら、「金ありゃだいじょぶじゃね?」みたいな(笑)。最初は強い言葉や怒りみたいなものがなかったので、書けるかなあって感じでしたけど、お金の話ならポップにできるなって思ったので、そこを何回か話し合いながら作ることができました。

Rachel:トラックもガラッと変わったよね。リフが印象的な曲にしたかったのでそこは変わらないんですけど、最初はもっとバンド寄りなスカっぽいサウンドで、ドラムの音も荒々しいし、クラブっぽくはなかった。

——そうなんですね!

Mamiko:確かにあとからいろいろ音を入れたよね。

Rachel:「逃げ出したい」にしても「お金欲しい」にしても強い感情だから、トラックが凶暴だとバランス取れないなって思って。ちょっとコミカルでおもしろく聴こえるようなビート感、アホっぽさを出してもらいました。

——曲を聴いてもそのムードがまず先に入って来ますしね。

Rachel:歌詞でも言ってるんですけど、今を生きてる人達って、こんなことしたいといったヴィジョンを抱きづらくなってるんじゃないのかな。コロナ禍もありますし、景気がよくないことも相まって、どんどん窮屈になってて。それでもそこそこ生活できてるからいいじゃんってなったりするけど、ホントにそれでいいのかなっていう気持ちでMamiちゃんも歌詞で〈もっと上もっと上〉って言ってて。もちろん、コミカルでキャッチーな曲ではあるんですけど、そんなテーマで書いてるし、素直に「こんなことしたい」って、夢を見られるような世の中になってほしいっていうのがありますね。

——そういった社会への目線は、RachelさんのTwitterにも時折見られますよね。

Rachel:やっぱ母になると身につまされることもあるし、SNSでも思ってることを言えたらいいよねって。日常のこんなことあったよっていうようなことでも、告知だってそうですし、常に発信していくので、「三億円」を聴いた人にも「お金欲しい!」って言ってもらいたいです(笑)。

Mamiko:その通りです(笑)。これ聴いてバカだなあと思って笑って聴いてくれれば嬉しいですね。

海外からの評価~「もっと気付いてほしい!」

——お2人といえば、タイのアーティスト、LUSS(ラス)さんとのコラボレーションが今年ありました。このコラボは、向こうからオファーがあったんですよね?

chelmico 「Balloon (LUSS remix)」Official Visualizer

LUSS 「247 (chelmico Remix)」Official Visualizer

Rachel:LUSSさんはコラボする相手を探してるみたいな感じで、chelmicoいいなってことで声かけてくれました。

Mamiko:音楽にめっちゃアンテナを張ってる人達だからたまたま見つけたんじゃないですかね。それで、曲を聴いてよかったのでぜひぜひって感じで一緒にやりました。

——海外での活動も考えたりしていますか?

Rachel:バリバリやりたいです。それこそ、こないだ(エルヴィス・)コステロさんが褒めてくれたのも、もちろんアニメパワーはあるけど、自分達の楽曲に言葉が通じなくても「いいね」ってなってくれたのがメチャクチャ嬉しかったです。

エルヴィス・コステロが賛辞したテレビアニメ「映像研には手を出すな!」のオープニングテーマソング。
Chelmico 「Easy Breezy」

Mamiko:あれはめっちゃ嬉しかったですね。マジでサイコーでした。私の中で、なんかやっと認められた感があったんですよね。

——え! そうなんですか!?

Mamiko:今までは認められてなかったというより、その意識すらなかったんですよね。私達の曲をこの人が聴いてるってことを実際に知ったのはコステロさんが初めてだったので。

Rachel:海外の方は特に。日本でも聴いてくれてる人はいるけど、音楽関係でキャリアある人に公言されたのはたぶん初めて……いや、ユーミンさんが聴いてくれてる(笑)。

Mamiko:ユーミンさんもマジで最高でした。でも、コステロさんのはめっちゃ嬉しかったんですよね。それで海外にはより行きたいなと思っています。

——認めることもそうなんですけど、そもそも見つけること自体すごいと思いました。エルヴィス・コステロって70歳近くのベテランで世代も音楽性も全然違うわけじゃないですか。

Rachel:そうそう。chelmicoを音楽的に聴かれたっていうこともあるけど、それを発信してもらったこと、楽曲を純粋に評価してもらったことがホントに気持ちよくて。マジメに作ってるので、ちゃんと聴いてくれてる人がいるんだ! っていうのが実感できたのもホントよかった。

Mamiko:ねえ。なんでみんな気付かないんだろうと思ってたから(笑)。

Rachel:もっと気付いてほしいよね(笑)。私達はchelmicoの音楽めっちゃ好きなのに。海外もそうですけど、日本の人にももっとchelmico聴いてほしい!

——それこそ今後に向けた意気込みになりますね。

Mamiko:もっともっとchelmicoの曲かけていいんだよー(笑)。

chelmico
RachelとMamikoの2人で’14年に結成したラップユニット。インディーズの活動を経て’18年にメジャーデビュー。以降『POWER』、『Fishing』、『maze』と3枚のフルアルバムをはじめとするリリースのかたわら、YouTubeの不定期ラジオ番組「chelmicoのでも、まだまだ土曜日」やコマーシャルソング、ドラマの主題歌、楽曲提供に客演、そしてソロ等々と多岐に活動中。さる11月にはRachel出産後初の有観客ワンマンを東京・Zepp DiverCityで行った。
http://chelmico.com
Twitter:@chelmico_offi
Instagram:@chelmico

Photography Shinpo Kimura

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ゆるやかにつながり、軽やかに夜を明かす――2021年版FNCYのセカンドアルバム『FNCY BY FNCY』 https://tokion.jp/2021/10/18/fncys-second-album-fncy-by-fncy/ Mon, 18 Oct 2021 11:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=67473 ZEN-LA-ROCK、G.RINA、鎮座DOPENESSの3人からなるFNCY。そのグループの成り立ちと、制作スタイルを探る。

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未だ猛威を振るうコロナ禍において、パーティの火が消えかねない現下の状況も、次の波を待つ時間と、FNCYは再び自分達の音楽を鳴らした。FNCYは、ZEN-LA-ROCK、G.RINA、鎮座DOPENESSの3人によるヒップホップユニット。1980~1990年代から今へと至るダンスミュージックへのオマージュもサウンドにちりばめ、懐かしくもフレッシュな世界観をヴィジュアル込みで提示し、フレッシュな風を音楽シーンに届けている。

その彼らの、今の息苦しさや迷いも軽やかに振り切る新作『FNCY BY FNCY』に胸をなでおろし、音と声に身を任せれば、おのずとそこにはかつての、そしていつかまた目にするであろうダンスフロアの喧騒が広がる。メンバー3人が思い思いにアルバムで歌うように「THE NIGHT IS YOUNG」――夜はこれから。
結成から新作に至るまで、3人の現在の声を届ける。

個々の共演を経て、グループの結成へ

ーーFNCYというユニット名はどこから来ているんですか?

ZEN-LA-ROCK(以下、ZEN-LA):確かRINAさんから出たのかな。3人で喫茶店とかよく行って、星の数ほどアイデア出たけど、最初はどれもしっくりこなくて。

鎮座DOPENESS(以下、鎮座):そこで3人の共通項はなんだってなった時に、“ファンシー”なもん好きなとこなんじゃないかなっていう。3人ともファンシーフィルターがあるんですよね。

ーーはは、そうなんですか。

ZEN-LA:それで「FANCY」から「A」を取って字面を「FNCY」にしたらあっ! みたいな。それも誰かに言われたんだよな。石黒さん(=石黒景太。幅広くデザイナーとして活動し、FNCYのファーストアルバムでもアート・ディレクションを担当)かな? 石黒さんには「俺じゃないよ」って言われるかもですが(笑)。

ーーともあれ、それぞれの活動がある中で結成に至った大きな理由はなんだったのでしょうか?

ZEN-LA:お互い個々に共演してたから、自分の4枚目のアルバム(=『HEAVEN』)の時に3人でコラボした曲(「SEVENTH HEAVEN feat.鎮座DOPENESS & G.RINA」)を作ってビデオ上げたら、それが評判がよくて。それで、1曲しかないのに3人で地方に呼ばれることを何度かくり返して、移動やメシの時も楽しかったんで、勇気出して誘ったっていう(笑)。

ZEN-LA-ROCK 「SEVENTH HEAVEN feat.鎮座DOPENESS & G.RINA」

懐かしいフィーリングを今にアップデートするFNCY

ーーその時点である程度方向性は固まっていたのですか?

鎮座:根本的にはヒップホップですよね。

G.RINA(以下、RINA):それぞれソロとは違うアプローチなんですけど、3人だとよりファニーなエンタテインメント性を持ってできる。最初に喜んでくれるお客さんが見えてスタートできたので、こういうことをやると楽しんでもらえる、それが私達も楽しいっていうフィードバックから曲ができていった感じはあるかな。

ーーお互い感覚的に共有する部分が多かったということもありましたか?

RINA:この3人なら懐かしいフィーリングを今の感じにアップデートできるって思ったし、その懐かしい音楽の好みが近いっていうところはあるかもしれないです。

ZEN-LA:で、最初に「AOI夜」を狙い撃ちで作って。

FNCY 「AOI夜」

ーー「AOI夜」はFNCYのファーストシングルですね。

RINA:「SEVENTH HEAVEN」の1980年代感を喜んでもらえたので、FNCYの1発目もその延長線上にある曲がいいかなと思って作ったのが「AOI夜」です。1980年代だったら歌が全編乗るような曲にラップが乗るっていうところでポップに作れるんじゃないかなっていうのもありました。

ーーではグループの原型もそこでできたと。

ZEN-LA:まあそうですね。その曲がグループ始めるきっかけだったし。

ーーRINAさんから話のあった「懐かしいフィーリングのアップデート」という視点はミュージックビデオなどヴィジュアル面にも明確ですよね。

鎮座:作品に残すっていう時は、客観的に見て遊んでる要素もありますね。できたものよりも、過程がすごく大事っぽくて、その過程がそういうのにつながってる。

ーー過去の名盤へのオマージュが続いた7インチシングル群のアートワークもまさにその遊びでしょうか?

ZEN-LA:だから今回のアルバムのジャケもYMOってよく言われんですけど、別にそうではなくて。

ーーTシャツからマグカップ、ライターなどに至るさまざまなグッズ、コラボ展開に見るフットワークの軽さも、感覚的には遊びの延長ということですかね。

ZEN-LA:それは俺の真骨頂ですね。いろんな業者とつながりすぎてまして(笑)。

ーー「TOKYO LUV」の7インチリリースに合わせた限定オリジナルビールの販売しかり、今作の特典となったバジル栽培キットしかり。

ZEN-LA:そのあたりは俺から2人に「話来たけどどう?」みたいな。バジル栽培キットはレーベルの人が「バジル最近売れるらしいですよ」って持ってきたんだけど(笑)。

届けるサウンドは大きいくくりでのダンスミュージック

ーー過程が大事って話がありましたが、曲作りにおいても重要になっていますか?

鎮座:うん、まさに。(完成に)たどり着くまでみんなでしゃべる、やる。「最近こういうこと思ってるよね」とか、(目の前のペットボトルにある文字を見て)「“最強刺激”か。なんか残りますね」みたいなことから始まって、それが音とくっつけば1回吹きこんでみて、1人が吹きこんだら誰かが吹き足してみて。そこで何かアイデアが見えてきたら「ここはこう変えましょうか」みたいな感じ。結構そういうことが多いですよね。

RINA:リリックに関してはそうですね。音はその場で弾いたりしてるわけではないので、3人で話したことを持ち帰って、それに合うような音を考えたり、いくつかある候補の中からテーマに合うんじゃないかってモノを選んだり。こういうのはどう? ってこちらから投げるものもあるけど、大体はそういう感じです。

ーー今回の『FNCY BY FNCY』も、前作に続きRINAさんが制作の中心を担う形ですが、プロデュース面で意識の違いなどはありました?

RINA:1枚目の時は、「AOI夜」を作る時とかも絶対盛り上がる曲を作らなきゃと思って作ったし、グループに必要なものは何かをすごい考えたんです。でも、今回は先に「TOKYO LUV」や「みんなの夏」があったおかげで、私はバラエティのほうに向かえるなと思いましたし、それぞれの背景にあるヒップホップ以外の好きな音楽とか、こういうこともできるよねっていうバリエーションを増やすほうでできたかなあと。

FNCY 「TOKYO LUV」

ーー確かにJengi制作の「TOKYO LUV」や「みんなの夏」そして新曲の「FU-TSU-U(NEW NORMAL)」をはじめ、外部制作のトラック群が前作から続くFNCYらしさを担う一方で、UKガラージ的な「COSMO」あり、2000年代初頭の名レゲエリディム「DiWali」を思わせる「THE NIGHT IS YOUNG」あり、ヒップハウスを解釈した「REP ME」ありと、RINAさんプロデュースの楽曲がアルバムの幅を広げてますよね。

FNCY「FU-TSU-U(NEW NORMAL)」

ZEN-LA:大きいくくりのダンスミュージックは、言ったらグループの最初のコンセプトの1つですからね。

すり合わせるのはお互いの“ムード”

ーーそのコンセプトを引き継ぎつつ、本作にはコロナ以降の状況やマインドが影を落としてる曲もあって。

RINA:ライヴに行って、そこで話して曲作りが始まるっていう私達のサイクルが止まっちゃったから、もう曲作るしかないって感じだし、この状況は記録せざるをえない、しておきたいって感じでしたね。それがヒップホップかなと。

ZEN-LA:まあでも今までと変わったってことはそんなにないんですけど。インプットは残念ながら減ってる感じはあるし、毎週毎週やってたものがまったくないっつうのは調子が絶対的に出にくいけど、みんなそういう状況だろうし、若干慣れてきちゃってもいる今日この頃なんで。ただ、他の取材で今回のアルバムが1枚目よりもまとまってるって言われたんですけど、確かにちょっと落ち着いてて、それはたぶん社会のムードも関係あんだろうなあっていう。1枚目の時はなかったもんね。

ーーかといって重苦しいアルバムではないですよね。その軽みがFNCYかなとも思いますし、いい意味で産みの苦しみも感じさせない音楽といいますか。

鎮座:3人でやる場合は産みの苦しみというより、「あー、こういうことやりたいな」みたいなものが出てくる感じかもしれないですね。チャレンジというか。

RINA:時間的なこと以外はわりとFNCYは楽しくできてるよね。

鎮座:歌やったあとラップしてたりもするんで、何人もの自分を出せるし。

ZEN-LA:確かにそこはあるかな。

ーーお互いが出してきたものに対してこうしてほしいっていうような注文をつけることは?

鎮座:お互い要求は特に出ないですよね?

RINA:私もラップしてるんですけど、ラップは2人のほうが長くやってるし、いつ指摘してくれるかなって待ってるんですけど、絶対に言わない(笑)。こうあるべきじゃないかってことが自分の中でまだ定まってないので、こっちとしてはなんか言ってほしい時もあるんですよ。

鎮座:RINAさんはそうおっしゃるんですけど、そういうもんじゃないんすよ。RINAさんがラップやった、自然だみたいなところでこっちはOKで、新しく書き直したやつとか聴いてても「おもしろいなー、そっちに行ったんですね」としか言えない(笑)。

ZEN-LA:そもそもどこでどう指摘していいのかもよくわからないですから(笑)。

ーーではそれぞれが書いてくる内容をつき合わせるようなこともないのですか?

鎮座:うん。メッセージがどうのっていうより、各々のヴァースが成立すればそれでよくて、その場の現象をみんなが各々投影するって感じはあると思う。それを無理やり合わせるのはバンドっぽいっていうか。俺ら(の音楽)はビートの上で歌うっていうシンプルなものだから。

RINA:1曲の中で3人の考えが多少違っても「へぇ、そう感じるんだ」みたいな。

ZEN-LA:これをやろうっていう明確なテーマがなくても3人で曲は作るしね。

ーーその点ではいわゆるセッションに近いのかもしれないですね。FNCYのヒップホップ観もそこにあるような気がします。

RINA:音楽を中心にぐわっと1つになる瞬間があるけど、そこを離れるとそれぞれにたぶん生活も、普段考えてることとかも全然違うんですよ。だけど、そこで「そうじゃないよ」ってことにはならない。そもそも大人になってからグループがスタートしてるので。

ZEN-LA:3人とも同じこと言ってるのもいいかもしんないけど、3人とも違って普通。だけどグループを一緒にやってるわけで、全然違うわけでもないんですよ。

ーーその意味では個々のグラーデーションこそがFNCYの色とも言えるかと。

鎮座:だからすり合わせてるのは“メッセージ”とかじゃなくて、あくまでも“ムード”なんですよ。お互い雰囲気をすり合わせて曲に投入していくという。

ZEN-LA:だからそんなにずれないよね。お互いのムードはわかるし。

鎮座:それがあることによって、一方通行じゃない発見もありますし、きっと何年後かにわかるんですよ。「この関係性ウケるなあ」とか。

ZEN-LA:じいちゃんになって「あの頃は若かったなあ」みたいな?

鎮座:70歳ぐらいで合流してアルバムを作ってみたいです(笑)。

RINA:そのためには健康でいないとね。

ーーそこまで見すえた活動……なんですか(笑)?

RINA:いや、超行き当たりばったりで、2枚目出せたねーって感じだし、ここまでやろうっていう目標もないゆるやかな連帯なので(笑)。

ZEN-LA:2枚目の先には3枚目がある、かも? ぐらいの(笑)。

FNCY
楽曲単位の共演でそれぞれに交流を温めたZEN-LA-ROCK、G.RINA、鎮座DOPENESSの3人で、2018年夏にグループとして始動。1980~1990年代から今へと至るダンスミュージックへのオマージュもちりばめ、懐かしくもフレッシュな世界観をヴィジュアル込みで提示する。先頃渋谷のレコード店で開いたポップアップショップをはじめ、オンラインライヴ、公式YouTubeを通じたラジオ風プログラム『FNCY HOME RADIO』の生配信など、多岐に活動を広げている。
http://fncy.tokyo
Instagram:@fncy_official
YouTube:FNCY Official

『FNCY BY FNCY』Release ワンマンLIVE!!!
出演者:FNCY
日時:11月19日
会場:東京・渋谷 TSUTAYA O-EAST
住所:東京都渋谷区道玄坂2-14-8
時間:OPEN 17:00 / START 18:00
料金:¥4,000
http://fncy.tokyo

Photography Satoshi Ohmura

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BLAHRMYの9年ぶりの新作――2人の近い距離と合わぬ足並みがようやく1つに https://tokion.jp/2021/07/26/blahrmy-miles-word-sheef-the-3rd/ Mon, 26 Jul 2021 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=45880 コロナ禍や時流を気にすることなく、自分らの求める音楽に向かい続けるBLAHRMY。約9年ぶりとなった新作『TWO MEN』はその証しに他ならない。

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地元神奈川・藤沢の同志ともいうべきラップグループ、DINARY DELTA FORCEとともに、現在にタフなブーンバップサウンドを体現する2MC、BLAHRMY。まとまった作品としては実に9年ぶりとなる彼らのアルバム『TWO MEN』がようやく届いた。2人の内なる音を具現化した盟友NAGMATICによるビートの上で行われる硬派な掛け合いは、ヒップホップシーンが様変わりした2021年の今だからこそ、よりタフにリスナーの心へ突き刺さる。

現場主義のその名の通り、ライヴ活動は常に継続しつつも、変化する互いの環境によるすれ違いを経て、ここに再び足並みをそろえたBLAHRMY。未だベールに包まれた部分も多い2人に、馴染みの地元であるMOSS VILLAGEにていろいろと話を聞いた。

藤沢の地だからこそ生まれた!? BLAHRMYとその音楽性

――DINARY DELTA FORCEもしかりですが、DLiP RECRDS周辺の人達はネーミングのセンスが独特ですよね。

MILES WORD(以下、MILES):確かに(笑)

SHEEF THE 3RD(以下、SHEEF):デビューEPの『DUCK’S MOSS VILLAGE』からそうっすね。「MOSS VILLAGE」は「藤沢」のことなんですけど、「DUCK」は「みにくいアヒルの子」のこと。「俺らって、周りと全然違えよな」みたいなところから来てるんですけど、ほとんど地元の奴と話してるノリですよね。なんか話してる時に、「これじゃね?」 みたいなのをそのまま発表しちゃってるっていう(笑)。

――身内で通じる一種のコードというか、そういうジャーゴン、スラングはヒップホップで欠かせない要素ですよね。こじつけですけど、藤沢がそうさせるんですか? 地元で音楽を続ける理由もそこだったり……。

SHEEF:うーん、関係ないんじゃないですかね。藤沢って、いっても東京に近いじゃないですか。電車で1時間ぐらいで行けるし。

――2人から見て藤沢はどんな街ですか?

SHEEF:ちょっとイナタい場所かもしんないですね。地元感が強い気がする。華やかなイメージとかはあんまないし、店で言うなら109とかそういうのよりはドンキみたいな。

MILES:やっぱ村みたいな感じなんですよね。人がいっぱい集まっても知らないヤツがいたらすぐわかっちゃう。それだけに、ここで何かやらかしたら、その時点で「やらかした奴」って見られちゃう。もちろん、それを挽回するチャンスもいっぱいあるんですけど。

――そういった街と、自分達がヒップホップをやろうと思ったことに関わりがあると思います? 自分達の音楽性や、ここで音楽をやり続ける意味にしても。

MILES:関係してるのかもしれないですけど……。でも、なんでここにいるかっていったら、結局は友達が一番多くて、「今何やってんの?」って楽に電話できる奴がいるかいないかなんで。

DINARY DELTA FORCEが介したユニットの始まり

――なるほど。そもそも2人が組むことになったきっかけを改めて教えてもらえますか?

SHEEF:結成したのは確か2008年の10月31日とかかな? ちょうどハロウィンだったんで覚えてるのもあるんですけど。俺らの結成にはDINARY DELTA FORCE(以下、ダイナリ)がカギで。その頃、よくダイナリのライヴにくっついて観に行ってて。その中に俺もMILESもいたみたいな。で、よく「バックDJ頼むわ」とか言われることもあって。「今日はMILES、そん次は俺」みたいな。そんなことをやってたら、お互いソロで活動していたのもあって、ふいに「お前ら組めば?」みたいなことをDUSTY HUSKYに言われて。

MILES:ダイナリは年が2コ上なんですよ。で、SHEEFはダイナリとタメだから、クラブとかで会っても、当時の俺からしたら(SHEEFは)先輩の友達みたいな。入り口はそんな感じでしたね。

――そこから一緒に音楽やるまでは早かった?

SHEEF:そうっすね。次第に2人で遊ぶようになって。DUSTY HUSKYに言われたのもあって「やりますか!」って感じになった。そしたら、遊びながらですけど、すぐ「デモ作ろう!」みたいなノリになって。そっからはずっとMILESのウチで曲作ってましたね。

――やるにあたって2人で突き詰めて話したりしました?

SHEEF:音楽について明確に「こうだよね」とかそういう話はしてないすね。ただ、ビギー(=THE NOTORIOUS B.I.G.)のアルバムとかNASのアルバムがヤバイとか話したりしてて。自分で掘ってきたレコードとかCDを聴かして「これやばくね?」とか。そういう話ばっかりしてました。

BLAHRMY 「FIST (AHRMY GLOVE)」(2014)

個々の歩みを経て、ここにそろった足並み

――その後リリースが始まって、近年はソロや別ユニットの作品、BLARHMYとしてもアナログや配信リリースがありましたけど、2人のアルバムとしては『TWO MEN』は9年ぶりになりますね。これだけ時間がかかった理由とは?

SHEEF:前のEPから7年ぐらい経ってるんですけど。EPが完成したあたりで自分が結婚とか、子どもができたとかあって、自分の中で生活のリズムが変わってきたのもあって。ずっとライヴはし続けてたんすけど、がっちり曲を作ろうっていうことについては、どこかMILESと足並みをそろえるのが難しくなって。

――MILESさんはその間、Olive Oilさんとのコラボはじめ、精力的なペースで作品を発表してましたよね。

U_Know(Olive Oil x Miles Word) 「WAKABA」(2018)

MILES:自分はずっとスイッチが入ってる状態だったんですけど、そこで無理に一緒に作ろうよって感じよりかは、ちょっと1人でやってみようかなみたいな気があったっすね。家庭ができて音楽やめたりする人もいると思うんですけど、SHEEFにはそうなってほしくなくて。で、もし自分が活発にやってたら、(SHEEFも)「俺もやりてぇ!」ってなるかな?っていうのがありましたね。

SHEEF:実際、その思惑通りというか。MILESの動きを見て「やっぱり悔しい、俺もやりてぇ」って気持ちは大きくなってったかもしれないっすね。ただ、最初はバタバタ過ぎてそれどころじゃなかったから、そういうふうに考えられたのもちょっと時間が経ってからだったかもしんない。

――じゃあSHEEFさんにとってはRHYME BOYA(DINARY DELTA FORCEのメンバー)さんらとのコラボはいわばリハビリのような感じというか。

SHEEF:いや、リハビリって意識は特になくて。俺も曲を作りたいってなった時にタイミングがバッチリ合ったのがRHYME BOYAだったってだけですね。まあ、結果的にはリハビリみたいにはなってたんすけど。

RHYME&B × SHEEF THE 3RD feat. JAMBO LAQUER 「La La La」(2016)

――逆に、その間MILESさんは外部の人達と数多く制作を経験して、BLAHRMYやDLiPの仲間の音楽の見え方が変わったようなことはありませんでした?

MILES:やっぱDLiPは村みたいな感じがあったのかなって思うすね。外と関わりがなかったんで。全部自分らで完結させられると思ってたし。俺的には曲を書きたいって思うビートに、ただ書いてるだけだったんですけど、結果的にはいろいろ見えたものはあったかもしれないっす。

――NAGMATICさんの全曲プロデュースしかり、シンプルなタイトル(『TWO MEN』)しかり、今回のアルバムは原点に戻った1作にも思えますが。

SHEEF:原点に戻るって気持ちはなくて、今までの流れのまんまで、セカンド作ろうってなった感じっすね。その時、トラックはNAGMATICのビートでやろうっていう話をずっとしてたから、それがようやくできた感じ。1回離れてまた合流してみたいな、そういう感じではないんですよね。アルバムを作ってなかっただけで、ライヴも続けてたし、みんなで遊んでる中に2人とも常にいたし。

MILES:その間、シングルとかも作ったしね。

BLAHRMY 「10 ROUND」 (2019)

――アルバムとしてはどういう構想で?

MILES:1stアルバムのアップデート版にしたいっていうのはあったっすね。メチャクチャ何か変えようとしたってわけではないですけど、今の時代だからできたものにしたいみたいな感じは3人で話して。

――コロナの自粛期間も挟んで、制作で変わったようなことはありませんでした?

SHEEF:曲の作り方は前と明らかに変わったっすね。制作途中はお互い別々にRECしたのを送り合って、本撮りした時に集まる、みたいに別々で作り上げてく感じっすね。制作中に集まってこうしようみたいな曲とかはあまりないかもしれない。こうしたいと思ってたらMILESも自然とそうしてたし。

――お互いに意思統一みたいなことはない……と。

SHEEF:もう1stの時点でそれは済んでるから改めてする必要がなかったっすね。

MILES:でも、メチャメチャいいのができたと思います。熟成されてるっすね。パッと勢いだけでできた感じじゃないかな。

SHEEF:熟成かぁ……。例えば?

MILES:だからなんつうの、最近できたもんじゃないからさ。けっこう貯めてた曲も多くて。そこに改めてスクラッチとかスキットが入ったらさらにガチっと固まっていい作品になったし。

わき目振らず、自ら欲する音に向かったアルバム

――日本でもトラップが主流となって、1stを出した頃とヒップホップシーンも大きく変わりましたけど、そこに何か思うことはありませんでした?

MILES:特に考えてないですね。今回もそうですけど、単純にこのビートでやろうって気になったビートでやってるだけなんで。

SHEEF:ヒップホップがすごいはやってるならそれはいいことだと思うんで。その中で自分達が好きなものを本気でやっていれば他は特に気にはならないっすね。実際、あっちのヒップホップもトラップだけじゃないし。

――じゃあNAGMATICさんとも方向性について特にすり合わせるようなこともなかったわけですか。

SHEEF:そうっすね。NAGMATICから「この感じ!」みたいなビートが来て、そっからそれぞれ書きたいビート選んで書いて。実際2人で書いてても漏れている曲も結構あって、それはちょっと熟成の樽に入れとこうみたいな 。

MILES:やっぱ熟成してんじゃん(笑)。

――ははは。1990年代のヒップホップレジェンド達を歌詞に盛りこんだ「Recommen’」1つにも、改めてサンプリングオリエンテッドなヒップホップに対する意地やこだわりを見た気がしましたが。

SHEEF:「Recommen’」は今の時代にこういうのあったらおもしろいんじゃないかなっていうノリっすね。別に音楽じゃなくても良くて。例えばうまいメシ屋とか掘ったりするじゃないですか、なんとか系のラーメンはここがうまいとか。俺、結構キャンプ好きなんですけど、テントはここのブランドやばいぞとか、もっとヤバイグッズあるぞとか、なんか自分の好きなものを人に教えてる時って、こういう曲みたいになるんじゃないかなって。

BLAHRMY 「Woowah」(2021)

パーティは終わらないし、ライヴは続く

――ともあれ、BLAHRMYはライヴが何より強みだと思うんですけど実際、今の活動の状況はどうですか?

SHEEF:自分らで主催するパーティは、今もノリでずっとやり続けてるんですけど、呼ばれてたパーティとかはやっぱりコロナでなくなっちゃうことが多くて。結構くらってるっすね、やっぱり。

MILES:でも、パーティ自体は減るかもしんないけど、絶対なくなんないって逆に確信できたっすね。こんな状態でもパーティをやったら結局人が集まるってことは、やっぱりみんなパーティしたいんですよ。

SHEEF:今後はとりあえずツアーで全国をいろいろ回って、着地でワンマンとかしてみたいっすね。そろそろ、ハコ側もイベントやったほうがいいって思ってるっぽいじゃないですか。上から押さえつけられても、それじゃあ食っていけねえしって思ってる人も多いと思うし、オリンピックも引き金になる気がする。

――シーンの景色が変わった分、今回のアルバムで逆にブーンバップに根を張るBLAHRMYのカラーも色濃く伝わるのかなと。その先にツアーも見えてくるわけで。

MILES:昔ながらとかそういう意識は特にしてないですね。実際、USのHIPHOPもブーンバップでかっこいい新譜はいっぱい出てるんで。ただ、今の日本の中では際立つかもしんないですね。俺らもこのアルバムで爆発したいし。

SHEEF:そういえば、俺らのアルバムと同じ日に地元のスケートチームのDOBB DEEPが、DVD出したんすよ。『DOBBB2B』っていう。このタイミングでスケーターの奴らやラッパーの奴ら、ヒップホップ好きな奴らもガッと1つになりたい。他にも、仲間のRHYME&BのミックスCD、『D.jones』も出たし、丸ちゃん(BLAHRMY、DOBBDEEP、RHYME&Bの各作品のヴィジュアルも担当)っていう藤沢のドンが7インチ「RETURN OF THE LIFE」も出たんで。盛り上げていきたいっすね。

BLAHRMY
MILES WORDとSHEEF THE 3RDの2MCユニット。2010年のEPを経て、DLiP RECORDSから2012年に『A REPORT OF THE BIRDSTRIKE』でアルバムデビュー。その後、MILESはEPとNAGMATIC、Olive Oilとの連作、SHEEFがアルバムにRHYME&B、DJ BUNTAとの共作と、近年はユニットと並行して個々のリリースを活発化。ひさしぶりのまとまった作品となる今回のアルバムに続き、早くもSHEEFのソロEPの発表が予定されている。
http://dliprecords.com/
Instagram:@dliprecords@sheefthebis

Photography Daisuke Mizushima

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ポジティブな光差す新作の先にCampanellaが見据える「何度でも聴いてもらえる音楽」 https://tokion.jp/2021/04/06/campanellas-vision-enlighten/ Tue, 06 Apr 2021 06:00:07 +0000 https://tokion.jp/?p=27280 4年ぶりの3rdアルバム『AMULUE』を発表したCampanellaの音楽観と今たどり着いた表現、音楽をやり続ける意志。

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テン年代初頭、NEO TOKAIの一翼を担うラッパーとして頭角を現し、オリジナルのサウンドとラップでファンを集めてきたCampanella。テーマや方向性に縛られず曲を作ってきた彼にとって、新作『AMULUE』もまたその例外ではないが、そこには光がある。新型コロナウイルスの影響で、現場の活動ままならぬ中、生配信などで数々のライヴを届けるなど、思うに任せぬ現状をモチベーションに変え、強い意志とともに彼は“これから”を作っていく。

コロナ禍でも気負わず重ねた楽曲制作

――コロナ以降、音楽に対する意識に変化はあります?

Campanella:週末にライヴがあって普通にレコーディングしてって生活からライヴがなくなって。簡単に言ったら今まであまり考えてこなかったお金のこととかを少し考えなきゃいけないなと思ったり、焦りも少し出たんすけど、そういう歌詞を書こうとはあまり考えなくて。今回のアルバムでも唯一感情的になったのが「Minstrel」ぐらいで、あの曲にはコロナとか今の状況、ムードみたいなものを入れたんすけど。

――アルバムに向かう気持ちとしてはどうだったんですか?

Campanella:ホントに自分とか身内がブチ上がれればってぐらいでずっと音楽やってきたんですけど、前作でいい評価をもらったんで、今回はもっといろんな人に聴いてもらいたいなって気持ちはちょっとありました。

――そこで今回、特に力を入れたようなことは?

Campanella:ないっつったら変なのかな……(笑)。でもホントにないかもしんないですね。4年前にアルバム出したあと、わりと早く始めて、制作期間も長かったんで。

アルバムタイトルからひもとく音楽観〜「もっと楽しいこと」を探して

――『AMULUE』というアルバムタイトルは、地元近くの愛知県春日井市に以前あったお店の名前だそうですね。

Campanella:倉庫みたいな中に雑貨があったり家具や本があった店で。CDも置いてあって試聴機でいつも10枚くらい聴けたんで、聴いてよかったら買うとか10代の頃からしてました。

――そこではどんな音楽に触れてました?

Campanella:エレクトロニカとかポストロックがすごい好きでよく聴いてましたね。あとはWarp Recordsの音源、フライング・ロータスとかが全盛でそういうのとか、アイスランドの音楽とか……。

――アイスランドというとシガー・ロスのような?

Campanella:そうですね。シガー・ロスヨンシーが、パートナーのアレックス・ソマーズと『Riceboy Sleeps』っていうアート本を作って、その後にアンビエントの作品を作ってるんですけど、その本も海外のサイトで買って、mixiでコミュニティを作ったり。そのコミュニティは俺が管理人で、Free Babyroniaが副管理人だったっすね(笑)。その頃は掘りあいみたいになってたんですよ、RamzaやFree Babyroniaと。

――逆にそうしたセンスとご自身のラップ、ヒップホップはどのように結びついてると思いますか?

Campanella:どうなんですかね。ヒップホップを聴いてない時期も少しありましたけど、基本的にずっと好きだから、一番身近なRamzaとFree Babyroniaが10代でトラック作り始めたら、当然それにラップ乗せようってなったし、好きな音楽も近かったから、自然にこういう音楽にもなってるって感じで。

――新作でも制作の核となっているRamzaさんやFree Babyroniaさんは、作るトラックのビート感やサンプリングネタのチョイスにもいわゆるヒップホップにとどまらない広がりがありますけど、Campanellaさん自身、そうした広がりを意識していたわけではないと。

Campanella:単純に人と違うことやんないと全然目立たないよなみたいな考えは若い頃からあったんで。例えばラッパーだったらみんなDJ プレミアみたいな音でラップしたいって言ってたような頃も、みんながそれやってるなら別に俺がやる必要もないなとか思ってたり。ちょっと素直じゃなかったのかもしんないですね。

――今はそうした気持ちはないですか?

Campanella:別にそれをわざわざ口にはしないし、音楽を作る上ではオリジナルなのは当たり前のことじゃないですか。でもヒップホップの場合そこがグレーで、何かに近い音楽を作ろうとする人達ってめっちゃいると思うんですよ。例えば今だったら、タイプビート(注・人気アーティストの曲に近い曲調のビートに、そのアーティスト名をつけてYouTubeや販売サイト等にアップロードされたもの)とかそういうものもあるし、ビートメイカーに「あの人っぽい曲がほしい」って言って、ホントにその人っぽい曲でその人っぽい歌い方をして、それが普通にはやって、ファンの人達も似てるってわかってても受け入れるみたいな。それはそれでいいと思うんですよね、やってる本人達がよければ。
ただ、自分はそれをしたいとは思わない。他にもっと楽しいことがありそうだなって思うし、こういう曲作ってくださいっていう注文自体、俺はしたことないんですよ。向こうが「これがいいんじゃない?」って聴かしてくれたやつに俺が「いいね」ってなったらそれで作りますし。

――今回のアルバムにある「流行り廃りどうでもいい / 小さなvillage抜け出して」(「Bell Bottom」)っていうラインも、そうした思いを映すものでしょうか。

Campanella:まあアレはヒップホップのことというよりかは単純に自分の心のことを言ってるんですけど。

――本作での中納良恵EGO-WRAPPIN’)さんとの再共演(「Think Free」)や、GofishSOSOSCLUB、さらにプロデュースで参加のMockyといったヒップホップ外からの起用は、そうしたマインドの一端にも思えましたが。アルバムには鎮座DOPENESSさんやjjjさん、ERAさんもラップで参加してますが、彼らに対しても特に注文をつけるようなことはなく?

Campanella:曲頼んだりとか誰かと一緒に曲やる時もテーマとかってないんですよね。どっちかが先に書いてそのリリックで大体こんな感じかっていうふうに曲作ることが多くて。周りでもないですし、「こういう感じで曲書いてほしい」とか言われることって。

――あくまでもテーマありきではなく、相手の空気を感じ取ってお互いが作っていくっていう。

Campanella:そうそう。肌感覚が近い人だったらテーマとか絞らなくても同じ温度で曲が作れるんですよ。

歳を重ねてたどり着いた表現も形になった『AMULUE』とこれから

――ともあれ、前作の『PEASTA』では周囲に対する冷ややかな視線や葛藤も曲になってましたが、今回はアグレッシブなラップスタイルやセルフボースト的な歌詞こそあれ、聴き進めるにつれ現実を肯定するというか、ポジティブでピースな側面が強まりますよね。こじつけですけど、そこがコロナ以降ささくれだった人の心を落ち着かせるアルバムのようにも見えて。

Campanella:そこは自分が30歳を越えたっていうのもあるっすね(笑)。自分でも今回のアルバムはアルバムとしてきれいに流れていく感じがしました。

――角が取れたというか、「ネガにSee Ya / 常にkeepしていくsoul」と歌う「Think Free」もそんな一曲で。それは表現したい音楽が変わってきたっていうこととは違いますか?

Campanella:それは正直ないですね。逆にこういうことも表現できるようになったのかなって思うことはいろいろあるんですけど。「Think Free」とかそういう曲って、何年か前なら作れなかったかもしれないとも思うし。

EGO-WRAPPIN’の中納良恵をフィーチャリングに迎えた「Think Free」

――なるほど。改めて完成したアルバムの感触を聞かせてもらえれば。

Campanella:すごく好きで納得はいってるけど、自分の中で育てていきたい感覚もあるんですよね。前回の『PEASTA』をライヴでやってどんどん好きになってったように。とにかくいろんな機会に聴いてほしいし、長く聴いてもらえる作品になればなと思います。

――コロナ後に向けた思いも聞かせてください。

Campanella:まあ変わらずやっていきたいのはあるんですけど、今まで当たり前だったものがなくなってしまうことが一番悲しい。クラブやライヴハウスがみんなの受け皿だとしたら、すべてが終わった時にその受け皿があったほうが絶対いいじゃないですか。それと一緒で、自分達アーティストも考えることはいっぱいあるかもしんないけど動いてないとみんなついてこないと思うし、下のアーティストの目標にもなれない。こういう状況でへこんでる場合じゃねえなって気もしたし、とにかくやり続けないといけないですよね。

――活動を続けていく上で、Campanellaさんが今、理想とする音楽はどんな音楽でしょう?

Campanella:めっちゃシンプルに、何回も聴ける音楽ですかね。いろんな人に歌詞のこととかどういうふうに考えてるかって結構聞かれるんですけど、作ってるこっちとしては音とおんなじで響きだけでも感じてほしい部分があるし、深い思いもあんまりなかったりするんですよ。だから響きだけで好きになってくれても全然いい。

――この一小節のラップが好きとか、ふとした時にここの歌詞に引っかかったとか、自分にリンクしたとか……。

Campanella:それがラップですよね。だからライムするし、それがラッパーのやるべきことでもある。リリックを書き始めてどんどん脱線していくことって全然あると思うんですよ、「これ言いたいな」とか「これで韻踏みたい」とかって考えていくと。

――聴くたびにそういう発見があるっていうのもさっき言った理想の音楽に近づくことの1つですしね。

Campanella:それを感じ取ってくれたなら俺的にもすごい嬉しいです。

Campanella
1987年生まれ。愛知県小牧市出身で名古屋を拠点に活動中のラッパー。フリーのミックステープや、C.O.S.A.とのユニット、コサパネルラ、TOSHI MAMUSHIとの共作などでシーンの注目を集め、2014年にはソロ初のアルバム『vivid』を発表。続く2016年のセカンド『PEASTA』では盟友Ramza、Free Babyroniaのプロデュースの下、高い音楽性を見せつけた。5月22日には新作『AMULUE』の リリースパーティが、渋谷・WWW Xで予定されている。
Instagram:@campanella_mdm
Twitter:@campanellapsy

■Campanella “AMULUE” Release Live
出演者:Campanella、Ramza、Free Babyronia
日時:2021年5月22日@渋谷 WWW X
OPEN 18:00 / START 19:00
料金:前売り ¥3,800、当日 ¥4,300
https://www-shibuya.jp/schedule/013498.php

Photography Go Itami

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揺るがぬスタンスでラッパーとして再び歩き出す漢 a.k.a. GAMI https://tokion.jp/2021/02/06/kan-a-k-a-gami-returns-to-his-rap-career/ Sat, 06 Feb 2021 06:00:44 +0000 https://tokion.jp/?p=17697 薬物絡みの容疑で相次ぐ逮捕に見舞われた1年にも、漢 a.k.a.GAMIは下を向かない。彼なりのヒップホップと自らの今、そして未来。

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ヒップホップという夢と引きかえに支払ったものの大きさにも思いを馳せるアルバム『ヒップホップ・ドリーム』から約2年強、漢 a.k.a. GAMIにふりかかった2度の逮捕劇は、彼にミもフタもなく現実を突きつけた。しかし、言うまでもなくそれは漢の物語の結末ではない。ヒップホップひいては音楽に苦境、逆境を乗り越える力があるとすれば、今の漢にこそ音楽が必要なのであり、物語もそこからまた始まる。そんな中、『Start Over Again EP』のリリースを前にした2020年の暮れ、「鎖GROUP」のオフィスに彼を訪ねた。
世の中とどう折り合いをつけていくかは、これからもその身について回りそうだが、笑顔も交えた変わらぬ話しぶりには、長く彼を知る1人としてホッとさせられた。

俺らの周りは変わってないし、行動自粛もまったくしてない

――昨年の逮捕を受けて、自分の信条に変化などはありました?

漢 a.k.a. GAMI(以下、漢):ないすね。音楽から離れた部分で追われてる状況もそうだし、いろいろ大人の知識もつけないとなっていうのはありますけど。

――じゃあ生活そのものも変わらない? 特にコロナ以降とか。

漢:今の自粛モードにはモヤモヤしますよ。だけど、俺らの周りは誰も変わってないし、行動自粛もまったくしてないですね(笑)。エチケットは守るぐらいで。

――でも逮捕の一件でネットをはじめ、いろいろ矢面に立つこともあったんじゃないかと思うんだけど。

漢:そこは最近のわけわかんない風潮ですけど、リスナーを含めまともな子がヒップホップに関わりすぎちゃって、ホントふざけたこと言ってくるっすからね、パクられたことに関して。俺は一般人かよ、みたいな。マジまともなこと言うんじゃねえ、とりあえず俺はそこの担当じゃないのを知ってただろ、みたいな感じですよね(笑)。

――確かに(笑)。その分よけいに標的になりやすいっていうのはあるのかもしれない。

漢:バッシングっていうものがメディアの手段になってるし、今は個人個人がメディアじゃないですか。だからしょうがない現象ですけど、俺のどんな曲を聴いてんだよって。まあそうやって俺をヘイトしてくる奴は俺に金出してない奴なんで、お前のストレス解消になりゃいいよぐらいにしか思ってないですし、スタイルを変えるつもりもないし、黙らせてやるよって感じですけど。

――コロナ禍が今も続いてて、ライヴなどの活動にも支障がありそうだけど、その点は?

漢:この2ヵ月間毎週のようにライヴやってるんで、あんまそういうのもないすけどね。たまに人数が少ない場所でやるってだけで。どこのライヴ行ってもいい感じだし、待ってました感があって。

――そうなんだ。主催する「KOK(=KING OF KINGS)」や出場したものも含め、MCバトルの現状についてはどう?

漢:俺がパクられて『(フリースタイル)ダンジョン』も終わったし、けじめとして誘われた大会は全部出てひと区切りしようかなって感じだけど、バトルは飛沫飛ばしまくってますからね、ふざけんなってぐらい。でもインスタライヴとかやってると、コメントで「2mのソーシャルディスタンスを取りながらサイファーやってます」みたいなバカげたコメントもありますね。まあいいんじゃないですか、ソーシャルディスタンス取れば声もデカくなるし(笑)。

原点に返った今、放つ『Start Over Again EP』

――今回リリースされた『Start Over Again EP』は、留置場で書いた曲も多いそうだけど。

漢:4分の3は留置場で書きましたね。便箋を自分で買って、ペンを貸してもらえる時間帯にリリックと生まれて初めてのような手紙も超いっぱい書くみたいな。まあ40越えてドラッグでパクられるのは恥ずかしいことだけど、そうなった以上、ラッパーだったらリリックに書くしかないんで。

――曲を書くモチベーションや曲に向かうメンタリティにも変化はないですか?

漢:今年1年(2020年時)、日本全体も世界的にもネガティヴな1年だったし、俺も最悪だったからそこはリンクはしますよね。ただ、パクられた時の留置場内ではコロナのコの字もないし、俺が出てきた時もちょっと落ち着いてた時期だったから、そこはマインド的にも来なかったっすね。

――昨年最初に逮捕されたタイミングが、ちょうど鎖のオフィスを開いて6年目の5月だったっていう。

漢:ロクでもない6年目のいい締めだったというか(笑)。でも今は音楽に集中しやすくなったのはメリットだし、そういう意味で今は前向きっすよね、すごく。

――今回のEPもタイトルしかり、活動も原点に返るというか、返らざるをえないところがあるわけで。

漢:そうですね。1つは見つめ直す意味と、もう1つはテレビといったオーバーグラウンドのメディアには一切出られなくなったから、音楽しかないっていう意味で、嫌でも原点に戻された。ただ、原点といっても、レーベルを始めた時は新しいことをやるぞっていうテンションで、いろんなアーティストとも契約して派手にやったけど、時代も変わって、今は俺とD.Oしか所属してない。そこでD.Oがいないところで、俺もいなくなっちゃったのはホントにシャレになんなかったけど、俺もある程度おんなじ思いして戻ってきて、もうヘタこかないでやってこうっていう、経験してない新鮮さですよね、今は。

――そんな中にあっても、ハードコアなヒップホップの流れは下の世代に受け継がれているし、なにより漢くんもリンクする舐達麻が大きな支持を集めてるのは追い風だよね。

漢:そういう奴らは若い頃、俺らを聴いてたわけで、自分が無鉄砲に頑張ってた時とかのテンションに近い奴らには見てて重なる部分もある。刺激にもなるし。いろんな相談役みたいな感じのことも増えましたね、音楽のことからストリートの事情まで含めて。そういう奴らには俺の持ってる知識、経験を注いでますね。

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*この下に記事が続きます

――今のヒップホップシーン全体についてはどう見てる?

漢:俺がガキの頃からなってほしかった日本のヒップホップに近いシーンが現状ある。若い子達はとにかく曲出すペースも早いし、そこは日本のヒップホップの文化が育ったんだなって思う。ただ、東京だけじゃなく他の地域も含めてストリートとか街、フッドを感じられるヒップホップが今は少なくて、ムーブメントの起き方がやっぱ個人個人なんだろうなっていうのが寂しいとこでもあるんですよね。そこは若い子達とちょっと違う思考だと思うんですけど。

――派閥感がなくなったのがつまんないって話は以前もしてたよね。

漢:そうそう。集団もめんどくせえなって時期もあったけど、やっぱそういうのが好きって部分があるんすよね。逆に今そういうのやったら盛り上がんじゃないかなっていう。だからおもしろい奴らがいたら、それこそ2代目MSCもやってみたいし、そのパーツはそろいつつあるような気もしてて。

――ともあれ、バンバン曲を出せる環境ができた今の状況にあって漢くん自身も変わっていくっていうこと?

漢:状況がそうさせてんのと、あとホントに1回本気出さねえといけないだろって(笑)。本気を1回も出してねえような気がしちゃってるから、ヒップホップをやってる上で。

――昔から100%出すのが一番難しいっていう話もしてたよね。

漢:そうですね。今は考えなきゃいけないこともたくさんあるし、プライベートもこの年になってくると子どものこととか含めてやることが増えて、大人を突きつけられる。追い詰められたっていうほうがデカいすね。それイコール本気出さないとなってことなんですよ(笑)。やるしかないっていう。

ハードコアなヒップホップで世の中をかき回す

――前回リリースの『ヒップホップ・ドリーム』は、ヒップホップをやり続けるっていう夢と裏腹の、もはや後戻りができないっていう現実も映し出すアルバムだったように思うんだけど、今の状況はシビアにとらえたら、ますますシビアだよね。ましてや、それを続けていくってことを考えると。

漢:同世代でも音楽からとうとう離れていく人やフェードアウトする人も増えてきてますからね。でも、俺は50歳ぐらいまではラッパーとして現役でいいかなと思ってて。バンドのスタイルでもやってみたいなっていうのは昔からあるし、そういうこともやってったら50代でもシブいラップはできるかなって。なによりSHINGO★西成ジブさん(ZEEBRA)とかああいう人らもそれを証明してってる感じじゃないですか。

――それを含めて今後についてはどう考えてる?

漢:将来の自分の立ち位置をよく考えますけど、ヒップホップっつったらこいつだよな、みたいなところに自分を置きたいし、よりハードコアなラップスタイルでクソガキも同世代も黙らせてやるよって。ラップうまかったり音楽性高い子は数えきれないぐらいいるけど、なんか見てて物足んないすよね、やっぱり。その物足んなさを自分が埋められればいい。今はメディアも不安しか煽ってないし、そりゃみんなもそうなるわって感じじゃないですか。だからヒップホップぐらいは反逆者としていい意味で世の中もかき回していかないとって感じですね。

漢 a.k.a. GAMI
ゼロ年代のアンダーグラウンドなヒップホップシーンを席巻したMSCの活動を経て、ソロラッパーとしてのキャリアを本格化。自ら「鎖GROUP」を立ち上げ、レーベルの運営にも手を伸ばす。自身の戦績とともに、初代モンスターとしてレギュラー出演した地上波TVの『フリースタイルダンジョン』や、「KOK」の大会主催など、日本におけるMCバトルの広がりにも貢献。昨年の逮捕劇を受け、現在は鎖GROUP代表を辞し、一ラッパーとして活動中。2021年初頭、オフィスであり、カフェでもある「9SARI cafe」がバーとしてもオープンした。
http://9sari-group.net
Instagram:@kan_9sari
YouTubeチャンネル:9SARI GROUP

Photography Daisuke Mizushima(D-CORD)

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