MAMIMOZI Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/mamimozi/ Mon, 29 Aug 2022 04:07:55 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.3.2 https://image.tokion.jp/wp-content/uploads/2020/06/cropped-logo-square-nb-32x32.png MAMIMOZI Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/mamimozi/ 32 32 書道家 万美のインディペンデント。自分らしい文字をつづるために―後編― https://tokion.jp/2022/01/16/interview-calligrapher-mami-part2/ Sun, 16 Jan 2022 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=90014 書道家、万美が、約5年ぶりとなる自主企画の個展を開催中。後編では個展で展示されている作品に込めた思いを解説してもらいながら、インディペンデントな活動の価値についてひもとく。

The post 書道家 万美のインディペンデント。自分らしい文字をつづるために―後編― appeared first on TOKION - カッティングエッジなカルチャー&ファッション情報.

]]>
国内外からのオファーが絶えない書道家 万美。古典を重んじながらも、常に意欲的な姿勢で作品を生み出し、書道の新たな魅力を伝えてくれる。それを存分に発揮している個展が現在、代官山「STUDIO 4N」で開催されている。
これまで、百貨店をはじめとした大規模な会場で展示する機会が多かった彼女だが、今回の個展は約5年ぶりとなる自主企画。自ら会場に声を掛け、純度の高い自己表現の場を作り上げている。自身のアイデンティティーを体現した作品だけを披露しているが、そこにはどんな思いが込められているのだろう。やりたいことは積極的にアプローチすることでチャンスをつかんできた彼女が、インディペンデントにこだわる理由とは。

海外での個展を経て、5年ぶりの自主企画

――個展「MAMIMOZI」が開催されていますが、個展はいつ以来ですか?

万美:昨年の3月に原宿のギャラリー「UNKNOWN HARAJUKU」と、7月に「心斎橋パルコ」から声掛けいただいて開催しましたが、その時はアーカイブ作品が中心でした。今回の個展は、新たに書き下ろした作品を展示する自主企画になります。自主企画ですと、2017年の台湾での開催以来です。

――日本ではなくなぜ台湾で自主企画を?

万美:台湾は何度か訪れていたので頼れる人がいて、土地勘もありました。そして台湾の書道が気になっていました。個展の場所は自分で探して、買っていただいた作品も自分自身で発送してと、大変でしたがなんとか無事に開催できたのでよい思い出です。

――香港でも個展を開催していましたね。

万美:はい。2019年の3月に、蘭桂坊(ランカイフォン)という街に呼んでいただきました。街中に私のイベントのポスターやフライヤーを貼っていただいたりと大々的に告知してくれて、とても驚きましたし嬉しかったですね。とても温かく迎えてくれて、香港が大好きになりました。

――台湾や香港の書道と日本の書道には違いがあるのですか?

万美:そうですね、全然違う印象を受けました。個人的なイメージですが、日本は手先の技術で書を書き、台湾や香港は体を使って筆の動きで書いている。そこで私は体を使った技術を取り入れたいと思いました。

――ではアジア以外での展示経験はありますか?

万美:パリもあります。アートのキュレーションを学ぶ現地の大学院に通っている日本人の女の子が、卒業の課題として私の個展を開催してくれたんです。

――書道になじみのないパリでの個展は、どんな反応でしたか?

万美:あたりまえなのですが、言葉がダイレクトに伝わらないので、1つひとつの意味を聞かれました。やっぱり言葉の壁は高くて、本質的な部分まで響かないのが課題として残りました。やはりヨーロッパやアメリカよりも、香港や台湾のほうが書道という点においては反響が大きいですね。

4つの軸からなる作品で自己表現

――今回の個展では、以前から制作されている作品シリーズの新作が展示されています。“女”という文字を書いている「KUNOICHI」シリーズは色合いが鮮やかですね。

万美:書道の場合、使用する色は最大で黒白赤の3色です。でも、私がいいなと感じるデザインは、4色で構成されていることが多いんですよね。それを書道で表現してみたくなり、3筆画プラス背景で、4色にできると考えました。意外と3筆画の漢字はたくさんあるんですよ。私の名前の“万” もそうですし、地元山口県の“山”も“口”も3筆画。そこで考えた結果、“女”という文字は、折れ線と曲線と直線が組み合わさっていて、おもしろいのではと思いました。しかも、3種類の線が2点ずつ交差しているので、色が交わっておもしろい仕上がりにもなりました。“女”を枠からはみ出して書くことで、女性の社会進出や活躍といったことも表現しています。

――筆順最後の直線は白で統一されていますが、意味があるのですか?

万美:書道の公募展には、上手い下手で判断されるのではなく、順番に受賞していくということがあったり、お金によって受賞できるランクが変わるものがあったりするらしいです。そんな書道業界を浄化したいという意味も込めて、白の右肩上がりの1本線で書くようにしました。

――そうなんですね! 続いて「BLACK BLACK」シリーズについて聞かせてください。こちらは鮮やかな「KUNOICHI」シリーズとは対照的です。

万美:「BLACK BLACK」は、2012年に初めて書いたシリーズ作です。一般的に書道は、白地に黒で文字を書くから、コントラストが強調されるので、部屋に飾ると強く主張されてしまいます。それでもって、例えば“夢”や“愛”といったはっきりと伝わる言葉が書かれていると、より空間を支配し過ぎる気がしてしまいます。それも書道の魅力だとは思いますが、時と場合によっては、その言葉の強さを受け入れることができなくて、弱さと受け取れることもあります。それをどうにか中和できないかと、黒地に黒や透明の材料で書き始めました。同じ黒でも、質感や光の当たり具合によって見え方が全然違うんです。私は黒が一番カラフルだと思っています。そしてこのシリーズは、DJやラップをしている友人も飾りやすいようレコードサイズで書いているのもこだわったポイントです。

――「書道は墨汁で書く」という固定観念にとらわれない作品は、色とりどりで新鮮です。鏡に書いている作品も着眼点がとてもおもしろいです。

万美:コロナ禍によって誰とも会えない日々が続いて、人と会うことの重要性に改めて気付かされました。私は相手の話し方が自然と移っちゃうタイプなんですけど、「人こそ人の鏡」ということわざの通り、目の前の人は自身を映す鏡のようなものなので、鏡に文字を書いて表現しています。これは数年前に書いたことがあったので、今回改めて作品にしました。

――その一方で、伝統的な掛け軸もあります。

万美:私にとって掛け軸は特別な存在です。私は前衛的な作品が多いですが、それだけで評価されたくないという気持ちがあります。基礎があるからこそ、自己表現している作品があるということを感じていただきたくて、掛け軸は書いています。

――「KUNOICHI」シリーズに「BLACK BLACK」シリーズ、鏡と掛け軸。この4つの軸で個展を構成しながら、毎日ライヴパフォーマンスも行うんですよね?

万美:はい。展示する作品は、何百枚も書いてそこから1枚を選ぶのですが、ライヴパフォーマンスはその1度しかありません。えりすぐりの1枚だけを展示することよって高慢になりたくないので、今回開催する毎日のライヴパフォーマンスは、ある種の練習。書くことを観てもらうので本番ではありますが、私にとっては練習試合のようなものでもあります。

――書道になじみが薄い人にも受け入れられやすいように、前衛的に昇華されてもいますが、伝統を重んじる人からの厳しい意見が届くことはありませんか?

万美:以前はありましたよ。大学生の頃の話ですが、20歳の誕生日を迎える前日、10代最後だからやりたいことに挑戦しようと、学校の課題を虹のように7色で書いて飾ったんですよ。そうしたら、師匠に怒られてしまって。イベントのフライヤーを書いていたこともとがめられました。そこで気付いたのは、堅い業界に身を置きながらそういった活動をしていたから非難を浴びるのであって、そことは別の場所で自由に活動すれば気にはならない。それからは、自分の行動範囲と視野を広げるようにしました。

――自分らしい作品や活動を追求した結果ですね。

万美:コンテストで入賞しても、私の活動にそんなに大きな意味はないので、自分のやりたい分野で、表現したいことを発信するほうが楽しく活動できますからね。今回の個展では、そういった思いも込めています。さまざまな場所から展示のオファーをいただいていて、本当にありがたい限りです。何度も開催させていただいた西武といった大きな会場での展示は、いい経験となったので、また機会があればぜひやらせてもらいたいです。
でも、今の私の思いをストレートにわかりやすく伝えるには、自分でできる範囲の規模が最適だと思って、今回は自主企画に至りました。これからも自分の好きなことに対して忠実でありたいですし、好きなことを続けていくためにも、インディペンデントな活動を続けていきたいです。

万美
書道家。山口県出身。9歳から書道を始める。日本のヒップホップカルチャーから影響を受け、DJ やラッパーのCD ジャケットや出演イベントで協業する。現在はジャンルは問わず、世界的に展開する企業にも作品を提供している。アジアを中心に展覧会を開催し、世界中から注目を集めている。
Instagram:@mamimozi

MAMIMOZI
会期:〜2022年1月17日
会場:代官山 STUDIO 4N
住所:東京都渋谷区猿楽町2-1 アベニューサイド代官山Ⅲ 3階
時間:12:00〜19:00
作家在廊:毎日16:00〜18:00、18:30〜19:00
毎日18:30から作家によるライヴパフォーマンスを予定。

Photography Cho Ongo

The post 書道家 万美のインディペンデント。自分らしい文字をつづるために―後編― appeared first on TOKION - カッティングエッジなカルチャー&ファッション情報.

]]>
書道家 万美のインディペンデント。自分らしい文字をつづるために―前編― https://tokion.jp/2022/01/12/interview-calligrapher-mami-part1/ Wed, 12 Jan 2022 09:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=89955 書道家、万美が、約5年ぶりとなる自主企画の個展を開催中。これまで以上に彼女らしさを感じられる作品が並んでいる中、開催に至るまでの活動を振り返る。

The post 書道家 万美のインディペンデント。自分らしい文字をつづるために―前編― appeared first on TOKION - カッティングエッジなカルチャー&ファッション情報.

]]>

国内外からのオファーが絶えない書道家 万美。グローバルブランドからヒップホップアーティストのCDジャケット、さらには個人経営の飲食店といったものまで、作品の提供先は多岐にわたるが、そこには共通する信念があると話す。

現在、自主企画の個展「MAMIMOZI」が代官山「STUDIO 4N」で開催されている。展示されている作品の数々は、書道を身近なアートに昇華し、その表現を通じて心を揺さぶってくれるが、彼女本人にとっての書道と作品とは。クライアントワークをこなしつつ、好きなことを追求し続けるからこそ見出した、インディペンデントな活動に迫る。

自ら切り開いた書道家の道

――万美さんが書道家を志したのはいつですか?

万美:幼い頃から書道を習っていましたが、書道家を目指したのは高校生の頃で、書道を学べる大学に進学するために上京しました。学費や下宿代をアルバイトだけで補うのではなく、少しでも書道でまかなおうと考えていて、その時にいただいた仕事が初めてのクライアントワークになりました。

――いただいた依頼はどんな内容でしたか?

万美:最初の仕事は、ヒップホップアーティストのCDジャケットです。ピンゾロ(ラッパー・鬼が率いる3ピースバンド)のアルバム『P.P.P.』に、“ピンゾロ”とカタカナで書かせていただきました。

――依頼はどういった経緯できたのですか? 鬼さんと知り合いだったんですか?

万美:いえ。鬼さんとのつながりは一切ありませんでした。私は日本のヒップホップが大好きで、CDをたくさん持っていたんです。その多くに「ULTRA-VYBE(ウルトラ・ヴァイヴ)」というロゴが入っていることに気付いて、調べてみたらそれはレコード会社でした。これだけ音源をリリースしているなら、なにかしらのジャケットで私の作品を使ってもらえるのではと考えて、直接ウルトラ・ヴァイヴにメールを出したんですよね。すると、3ヵ月くらいたってから返信があって、仕事の依頼をいただきました。

――依頼があって、率直な感想はいかがでしたか?

万美:驚きましたよ! 「鬼って、あの鬼さん!? 本当に!?」って(笑)。

――それが2009年のことですが、その後はどんな活動をしてきましたか?

万美:依頼されたジャケットを書いて以来、他のラッパーさんにも私のことを知っていただけるようになり、狐火さんのジャケットやイベントのフライヤーを書かせてもらい、憧れていたシーンの中にどんどんとつながっていきました。

――書道家として駆け出しの頃は、『P.P.P.』の時のように、自分からアプローチすることが多かったですか?

万美:当時は、私から声がけさせていただくことが多かったですね。書道1本で生計を立てたいと思うようになってからは、なんでも書こうと思って作品の提供先を選ばなくなりました。でも、厳選したほうが私の意思が通るんですよね。「なんでもいいから使ってください」のスタンスだと、メールの返信率が悪かったです。

――今ではDJ MUROAwichなどのアーティストから、「シュウ ウエムラ」や富士通といったグローバルカンパニーまで作品を提供していますが、クライアントによって書き方や表現に違いはありますか?

万美:取り組む際の意気込みは何も変わりません。CDジャケットなら音源のラフを先に聴かせてもらって世界観に浸って書いています。そして企業案件なら、まずはその企業精神について調べて、それを理解した上で書くので、書き方としては一緒。相手の気持ちになることが大事です。最近だと、漫画『刃牙』の連載30周年プロジェクト「異種創作技戦ッッ!」でコラボレーションした際、花山薫の気持ちになって書きました(笑)。

――印象に残っているのは、2020年に開催された「ミッキーマウス展 THE TRUE ORIGINAL & BEYOND」です。3つの円相に、ミッキーマウスを世界共通の文字ととらえて表現した作品「ZEN Micky」が展示されていました。そして、その飾られた1枚の掛け軸の下には、何百枚もの同じ作品が積み重ねてありましたね。展示や提供する作品は1枚ですが、完成に至るまでたくさん書いているのが作品を通して伝わりました。

万美:基本的に、展示する作品は1つなんですが、本当にたくさんの枚数を書いて厳選しています。「ZEN Micky」で展示していた枚数は、比較的少ないほうで、220枚書きました。観てくださる方は、1つの作品を数百枚書いていることまで気付きませんよね。普段は厳選した作品だけを展示して鑑賞していただきますが、もちろんそこに至るまでの過程もあるので、その時間を表現するためにあの時はすべてを展示しました。制作期間は、筆が進む日があれば、まったく進まない日もあります。気持ち次第で1日に何十枚も書く日があれば、1枚しか書かない日もあるんですよね。

――気分が乗っている日は、どんなところでわかりますか? スイッチの入れ方があったりしますか?

万美:気分が乗っていると思っても、実は乗っていなかったりもします。体調が優れないけどとりあえず手を動かさなきゃと思って書き始めてみたら、とてもいい感じだったりも。筆の調子をコントロールできるようになればいいんですけどね。

畑違いの依頼も自分のこやしに

――基本的な質問になりますけど、書道の良しあしはどこで判断されるものなのですか?

万美:書道をやっている人とやっていない人で、判断基準は違うと思います。書道経験者による良しあしの判断は、専門的すぎて未経験者にはわからない部分が大半です。例えば、余白の使い方や墨と紙の相性だったりと。書道になじみがない人なら、難しい言葉よりわかりやすい言葉のほうが響きますよね。だから、書道の業界から離れたところで活動してみたら、その判断されるギャップを感じて、今もそのギャップと戦っています。

――書く文字の個性をどのようにして表現されていますか?

万美:私自身もまだわからないけれど、私らしい文字というのがあって。その個性を個人的に“匂い”と呼んでいるんですけど、自分にしかない匂いは、消したくても消せないものです。消せないからこそ、私が書いたと気付いてもらえます。でもその匂いがコンプレックスだったこともありましたけど、今は匂いがあって良かったと思っています。

――匂いをもっと強めたいと思いますか?

万美:そうですね。でも、ただ単純に匂いを強めるのも違うと思っていて。私らしい匂いを前面に押し出す作品もありますが、やりすぎるとエゴでしかありません。匂うくらいだからいいのであって、臭くなるまで強めたくはありませんね。

――ちなみにその匂いは、クライアントワークと個人の作品によって使い分けていますか?

万美:意識していませんでしたが、今考えてみるとクライアントワークで個性を出した作品が続いたら、個人の作品は堅実な作風になっているかもしれません。その逆もあって、クライアントワークで堅実な作品を書いたら、作品で個性を全開にしてバランスを取っていて。今となっては、私らしさを出してほしいという要望をクライアントワークではたくさんいただけているので、とても楽しめています。葛藤もありますが、ストレスはありません。

――大手企業からのクライアントワークの他に、個人経営の飲食店の看板も書かれていますよね。

万美:シンプルに、食べることが好きなんです(笑)。外食する際は、自分が看板を書いた店ばかり行っています。なので自分がおいしいと思える店でしか書いていません。

――好きなアーティストのCDジャケットを書くように、好きな店でしか書かないと。

万美:好きなアーティスト、好きな飲食店、好きなショップ、好きなブランドというように、私が自信を持っておすすめできるところに対しては、積極的に書いていきたいですね。

――クライアントワークは自身にどんな影響をおよぼしますか?

万美:予想だにしない要望があると、それに応えるために試行錯誤するので、私自身の可能性が広がります。ですので、クライアントワークは好きですし、私の活動において欠かせないものだと感じています。

――理想とする活動はありますか?

万美:今の活動の軸となっているクライアントワークは楽しいですし、勉強にもなっているので、それを続けながらも自分の書きたい作品を中心に制作していきたいです。それこそ、自分の生き様を曲にしているラッパーのように。クライアントワークで知識や表現を深めつつ、作品の質をより高めていきたいです。

万美
書道家。山口県出身。9歳から書道を始める。日本のヒップホップカルチャーから影響を受け、DJ やラッパーのCD ジャケットや出演イベントで協業する。現在はジャンルを問わず、世界的に展開する企業にも作品を提供している。アジアを中心に展覧会を開催し、世界中から注目を集めている。
Instagram:@mamimozi

■MAMIMOZI
会期:〜2022年1月17日
会場:代官山 STUDIO 4N
住所:東京都渋谷区猿楽町2-1 アベニューサイド代官山Ⅲ 3階
時間:12:00〜19:00
作家在廊:毎日16:00〜18:00、18:30〜19:00
毎日18:30から作家によるライヴパフォーマンスを予定。

Photography Cho Ongo

The post 書道家 万美のインディペンデント。自分らしい文字をつづるために―前編― appeared first on TOKION - カッティングエッジなカルチャー&ファッション情報.

]]>