Boys Noize Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/boys-noize/ Fri, 03 Dec 2021 03:45:40 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.3.4 https://image.tokion.jp/wp-content/uploads/2020/06/cropped-logo-square-nb-32x32.png Boys Noize Archives - TOKION https://tokion.jp/tag/boys-noize/ 32 32 対極に存在するものをつなぐーーボーイズ・ノイズが『+|-』で届ける新しい世界 https://tokion.jp/2021/12/04/new-worlds-emerging-from-the-new-boys-noize-record/ Sat, 04 Dec 2021 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=70518 エレクトロニックミュージックを軸に、DJ、サウンドプロデューサーとして活躍するボーイズ・ノイズ。約4年以上もの月日をかけ、コロナ禍の中でもじっくりと磨き上げられていった最新アルバム『+|-』について語る。

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エレクトロニックミュージックを軸に、DJ、サウンドプロデューサーとして活躍するボーイズ・ノイズ(Boys Noize)こと、アレックス・リダが、通算5枚目となる待望のニューアルバム『+|- (読み:ポラリティー、POLARITY)』をリリースした。約4年以上もの月日をかけ、コロナ禍の中でもじっくりと磨き上げられていった全14曲が収録されたアルバムは、自身が手掛けたエレクトロニックなサウンドと、さまざまなジャンルで活躍する9名の音楽アーティスト達によるかつてないパフォーマンスが融合し、さらなるボーイズ・ノイズの世界観を創り出している。アンダーグラウンドもオーバーグラウンドも網羅し、常に表現に関して探求し続ける4つ打ち界のスターに、新作について話を聞いてみた。

モジュラーで発見したサウンドが、アルバムの方向性を握る

ーーニューアルバム『+|-』ですが、最高でした。ここ最近、ひとびとは音楽からエナジーを欲しているのではないかなと思うのですが、やってくれましたね!

ボーイズ・ノイズ(以下、アレックス):気に入ってくれたなら嬉しいよ。僕もそう思うし、早くクラブやパーティに出掛けたい。今回のトラックはどれもビッグなサウンドシステムで映えると思うんだ。早くプレイできることを楽しみにしている。

ーー世界的なコロナ禍は続いていますが、ヨーロッパでパーティはもう始まっているのですか?

アレックス:リーガルなものからイリーガルなもの、そしていくつかのフェスティバルは開催されているし、このままいい感じにいってくれることを願うよ。

ーー『+|-』ですが、どのようなコンセプトの下で制作されましたか?

アレックス:『+|-』には、2つの異なったコンセプトがあるんだ。1つはニューヨークのスタジオでジャスティスのリミックスを終えた時に、新しいモジュールの音を試していたんだ。その時、後に「Greenpoint」のトラックにつながっていくんだけど、これまでに自分が聴いたことのないサウンドに出会ったんだ。そのサウンドが初期の段階で「Greenpoint」のアイデアになり、アルバムを作るアイデアと方向を決めるきっかけになったんだ。ハードなサウンドだけど、周りを取り巻くファンキーさがあって、スタイルがあり、ゆっくりした……まるでジョージ・マイケルとナイン・インチ・ネイルズの間くらいな感じでね。そういったサウンドのコンビネーションはこれまでに自分は聴いたことがなく、すごく新鮮だった。それでモジュラーの世界に深くはまってしまったんだ。僕のアルバムのほとんどがそれで成り立っているんだ。それで「Greenpoint」「Close」を作り、「Girl Crush feat. Rico Nasty」のインストを作って、新しい音を探求していったんだよ。モジュラーシステムで作った音の多くは、ドラムマシンではできなかったことで、だから少しインダストリアルで低音の荒々しい音になったんだよ。そんな感じで、『+|-』のコンセプトがより明確になっていった。

ーーヴォーカリストを取り入れた曲も、今回のアルバムの特徴ですよね。

アレックス:ヴォーカリストと一緒に仕事を始めたのは、「Girls Crush」が最初だと思う。僕はリコ・ナスティの大ファンで、彼女の「Smack a Bitch」が好きですごいな! と思っていたんだ。それで彼女に連絡を取って一緒に音楽制作をしたんだ。僕が曲を作って、彼女がそれに歌を乗せてくれた。それが、『+|-』のエクストリームサイドのスローなインダストリアルテクノのビートを表現した、最高な1例となったんだ。
リコ・ナスティはラッパーだけど、彼女は歌っている。僕にとって、音楽的なファンタジーが実現したんだ。その時に、極端に存在することを真ん中で魔法のように組み合わせることに気付いて、『+|-』のプラス(+)とマイナス(―)のアイデアを思い付いたんだ。それがもう1つのコンセプト。それはほとんどすべてのトラックに共通していると思う。ケルシー・ルーは、クラシックなチェロで美しい風景を生み出すアーティストだけど、何が起きたかというと、彼女が歌う愛の讃歌のような曲に、僕は別の非常にロマンチックなアイデアを取り入れて、みんなが聴いたことのない曲に仕上げたんだ。

Boys Noize 「Girl Crush feat Rico Nasty」

さまざまなスタイルを融合させて、自分だけのオリジナルを作る

ーー参加したアーティスト達の、さらなる側面を汲み取って各々の曲を制作していったのですね。

アレックス:クールなことと美しいことが『+|-』には存在していて、それは僕のDJにも反映されているんだけど、このスタイルが大好きなんだ。ここ最近は、そういった感じが普通なんだけど、自分がDJを始めた時は、ハウスはこのスタイル、テクノはこのスタイルと決まっていて、それに対していつも疑問を感じていたんだ。僕はできる限りすべてを取り入れたかったし、それがDJをすることのモチベーションにもなっていた。そしてサウンドプロデューサーとして活動するようになってからは、何年もそれを実現できるアーティストを探し続けてきた。リコ・ナスティ、ケルシー・ルーは、僕のような異なるタイプの音楽や環境にオープンに参加してくれた。それによってこれまで起こらなかったことが起こったし、さらにオーガニックに事が運んでいったから、僕のやってきたことは正しかったんだと思うよ。

ーーアルバムに参加してくれたアーティストとは、コロナ禍においてどのようにコミュニケーションを取っていきましたか?

アレックス:フィーチャリングアーティストを迎えた曲のほとんどは、コロナのまん延が始まる前にレコーディングを終えていたんだ。最後にレコーディングをした曲は「Ride Or Die」だったんだけど、その時はまだロサンゼルスにいて2020年が明けてからコロナのことを知ったよ。「これは深刻なことになる」と感じたね。コロナ期間中は自分のやるべきことは終わらせようと思い、各々の曲を仕上げる作業に入っていったよ。結果的にコロナは、僕にいい時間を与えてくれたと言ってもいい。

Boys Noize & ABRA 「Affection」

ーーアルバムは、どのくらいの期間をかけて制作したのですか?

アレックス:2016年、2017年くらいから始めているから、4年以上かな。エレクトロニックプロデューサーは、クラブの現場に瞬間で反応した音楽を発表したいだろうから、今はとてもクレイジーな時代だよね。だけど僕はこのアルバムに関しては、いくつかのアイデアに長い時間をかけて取り組むことができたから、このような形になった。テストする時間ができて、じっくり制作できたことをとても誇りに感じているよ。

ーーアルバムのアートワークを手掛けられた、エリック・ティモシーのデザインも素晴らしいです。

アレックス:アートワークや映像は、僕の音楽の背景にある表現やコンセプトを伝えるためにあって、それを手掛けてくれるアーティストは、僕にとってとても重要な人達なんだ。エリック・ティモシーは信じられないほど素晴らしいアーティストで、僕は彼のアートをボン・イヴェールのデザインで発見してひと目惚れしたんだ。それでニューヨークへ行った際に彼のギャラリーを訪ねて、そこにあったすべての作品と、これまでの彼の世界観を作り上げてきた大量のプリントを見せてもらった。それから僕達は友達になり、3度ほど僕のギグやボン・イヴェール主催のフェスなどで会ったんだけど、その時に僕の音楽で楽しい仕事をしてみないかと聞いてみたんだ。彼はファインアートのアーティストで、音楽関係はボン・イヴェールでしか仕事をしていなかったんだけど、快く引き受けてくれた。それで彼は『+|-』について、全宇宙を創造するというアイデアを持っていたんだ。素晴らしいできあがりなので、みんなにアートワークを見せたくてエキサイトしているよ。

テクノはアンチでパンク的な姿勢を持った音楽

ーー音楽を通じて、自分のどんな表現をひとびとに届けていると思いますか?

アレックス:アグレッシブなテクノで、僕は自分自身を表現することができているかな。ハードなトラックからは強いメッセージを伝えることができるし、テクノって音楽的にはラジオでかかっているような万人受けするようなものではなく、パンク的なアティチュードを持つアンチな音楽。エナジーが根本にあって、音符の構成ではなくドラムのキックにとにかくエナジーを感じる。だから僕にとってテクノのカルチャーはベストなんだ。

ーーエレクトロニックミュージックや、ダンスミュージックはリスナーにどんなインパクトを与えられると考えていますか?

アレックス:誰もが理解できる共通言語であること。日本、ブラジル、アフリカ、ドイツでもひとびとがどこから来たかは関係なく、フロアで出会って一緒に踊ることができる。それが最大の平和と愛のメッセージであるし、人間が1つになれる最大のポイントでもある。だから踊るために出掛けることは重要なこと。政府は止めようとするけど、僕達は引き続きコロナで奮闘しているクラブやパーティをサポートしていかないと。これが僕達の生き方だし、僕達の身体がこれを求めているからね。だから大きな愛と平和でみんなを1つにすること、それが僕の使命だと思っているよ。

デジタルリリースにのめり込み、NFTの可能性を思索中

ーーコロナ禍での活動をしていて、今後やってみたいと思うことはありますか?

アレックス:昨年リリースしたあとにその反応を利用して、初めてNFTプロジェクトに臨んだんだ。クリップスペースの世界にすごく影響を受けて、ブロックチェーンのテクノロジーを追跡して、昨年からNFTでアート的にデジタルリリースをすることに深くのめり込んでいるよ。それで昨年の夏に、すごくレアで実験的なプロジェクトPVNXを立ち上げて、初めてオーディオビジュアルNFTを僕の長年のコラボレーターでもあるサス・ボーイズとともにリリースしてみたんだ。まだものすごく珍しいけど、今年は初のBoys Noize NFTもリリースできたし、僕にとってコミュニティ全体が素晴らしいと感じている。

Boys Noize & Kelsey Lu 「Ride Or Die feat. Chilly Gonzales」
アルバムからのシングル「Ride Or Die」のミュージックビデオは、ニューヨークのクリエイティブスタジオ、Art Campが監督とアニメーションを担当し、2,400ページに及ぶ手描きのアートを3Dでモデル化。約1年かけて制作された手描きのコラボレーションオーディオビジュアルは、ニフティ・ゲートウェイ社を通じて、NFTとして24,000ドルでオークションにかけられた

ーー新しい試みですね!

アレックス:一度WEB3.0を体験すると、それまでの考え方が変わって、本当に素晴らしいものがあることを知ることができる。コミュニティを形成し、友達を見つけることができるっていいことだよね。とてもポシティブなことだし、コロナにより構築されたコミュニティで友人を見つけられたのは素晴らしいことだな。

ーー最後に日本のことについても聞かせてください。日本のアーティストで気になる人はいますか?

アレックス:日本人のアーティストで僕のレーベルで契約をした人がいる。彼の名前はホシナ・アニバーサリーというんだけれど、彼は素晴らしいハウス、テクノのプロデューサーで、ジャズのルーツを持ちながらさまざまな要素をミックスアップするんだ。これまで彼のアルバムを、BOYSNOIZE RECORDSから2枚リリースしたし、東京でも一緒にDJプレイをしたことがある。素晴らしいアーティストだよ。

Hoshina Anniversary 「Red Burrell」

ーーでは日本のファンにメッセージをお願いします!

アレックス:日本が恋しいよ。ロックダウンが終わって、今よりも状況が良くなったら、できる限り早く日本へ行きたいなと思っているので、また会えることを心から楽しみにしている。

ボーイズ・ノイズ
エレクトロニックサウンドを軸に活躍するDJ/サウンドプロデューサー。1982年生まれ、ハンブルグ出身。本名、アレックス・リダ。10代の頃よりDJとして活動を開始しKID ALEX名義で楽曲をリリース。20歳の時にベルリンへ移住後、Boys Noize名義にて活動を開始。同時に自身のレコードレーベル、Boys Noize Recordsを発足する。2007年にリリースされたデビューアルバム『Oi Oi Oi』が世界的な大ヒットを生み、以後、世界各国のパーティに出演。その傍らビッグネームとの楽曲制作やリミックスなども手掛け、スクリレックス、タイ・ダラー・サインとともに制作した「Midnight Hour」は、グラミー賞にノミネートされた。
Instagram:@boysnoize@boysnoizerecords

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連載「PKCZ®が世界中のDJに聞くアフターコロナのクラブシーン」 Vol.1  ボーイズ・ノイズ編 https://tokion.jp/2021/08/02/post-covid-club-scene-vol1/ Mon, 02 Aug 2021 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=40557 EXILE MAKIDAI、白濱亜嵐、VERBAL、DJ DARUMAによるクリエイティブユニット、PKCZ®によるグローバル連載。世界を股にかけて活躍するDJとのクロストークを通してアフターコロナのクラブシーンを探る。1回目のゲストは、Boys Noize。

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今回より、EXILE MAKIDAI白濱亜嵐VERBALDJ DARUMAによる音楽クリエイティブユニット、PKCZ®による新連載がスタート。メンバーが注目する、世界中のDJや音楽プロデューサー達に、コロナ禍におけるクラブシーンの現状と今後についてクロストークしていく。フィジカルな現場が激減してしまったクラブミュージックの未来とは。

Vol.1は、ドイツ出身のDJ/音楽プロデューサー、ボーイズ・ノイズ(Boys Noize)とのクロストーク。オンライン越しに登場したボーイズ・ノイズこと、アレックスは良いヴァイブスを放ちすこぶる元気。DJ DARUMAの「ひさしぶり、元気!?」の第一声でスタート。

今、ベルリンじゃなくてポルトガルに住んでいるんだ

Boys Noize(以下、アレックス):元気だよ! 早く日本へ行きたいよ。

DJ DARUMA(以下、DARUMA):TOKION初登場ということで、アレックスのプロフィールを教えもらえるかな?

アレックス:僕の名前はアレックス、ボーイズ・ノイズ。1982年にドイツのハンブルグで生まれて、音楽は6歳の時にピアノから始めたんだ。僕には10歳年上の兄がいて、彼がハウスミュージックのレコードを聴いていたんだ。1987年~1989年くらいの時期の、スティーヴ・シルク・ハーレーマーシャル・ジェファーソンジャングル・ブラザーズといったヒップホップからヒップハウスなどを聴いて、僕は部屋でよく踊っていたよ。11、12歳の時には学校でドラムを始めたんだけど、スケートボードで転んで手を怪我してしまって、ドラムが叩けなくなったからレコードを買いに行くようになったんだ。そこからハンブルグにあるハウス&テクノレコード屋に毎日通うようになり、アルバイトを掛け持ちしてターンテーブルを手に入れたんだ。ハウスのレコードに関しては、兄から教えてもらっていた古い音から新しい音も買っていて、中でも当時はフレンチハウス、ディスコハウスが人気で、ダフト・パンクが1stアルバム『Homework』(1997)を出した時だったんだけど、初めてアルバムのレコードを買ったのはダフト・パンクだったよ。

DARUMA:レコード屋でも働いていたんだよね?

アレックス:そう。レコード屋の人が「君はいつも店にくるけど、なんならここで働く?」って声を掛けてくれて。15歳の頃だったんだけど、他のバイトを辞めてレコード屋で働き始めたんだ。彼は僕がすぐにターンテーブルを買えないことを知っていたから、バイトしながら金を貯めて、レコードは店で聴けばいいって言ってくれたんだ。その彼が16歳の時に、ハンブルグのハウスのクラブへ連れて行ってくれたんだ。ローカルDJのボリス・ドゥルゴッシがハウスミュージックをプレイしていて、彼のDJと目の前に広がる、若者から年配までのひとびとがクレイジーにその場を楽しんでいるその光景にやられてしまったんだ。その時に自分もDJをするようになって、その経験が人生を変えてしまった。初めて経験したギグで「これこそが一番のベストな世界。これが大好きだ!」と感じて、そこからお金をまた貯めてレコード買い漁ることをずっと繰り返していたんだ。

ボリス・ドゥルゴッシのミックス

そこから間もなくしてレコード屋に来た人が「スタジオで曲を作るけど来る?」って誘ってくれて。もちろん僕は「YES!」。そのスタジオで初めてテンスネイク(以下、マルコ)に出会ったんだ。マルコに出会ったことがきっかけで、2000年に初めてキッド・アレックス名義でレコードをリリースしたんだ。そこでレコード屋を辞めて、20歳の時にベルリンへ引っ越したんだけど、その時はまだ「テクニクス」のターンテーブルのローン返済を終えていなかったよ。4年も働いていたのに、レコードばかり買ってしまってお金が足りなくてね(笑)。だけどベルリンに引っ越してから、自分のラップトップとドラムマシーンを使って曲を作り始めて、この時から“Boys Noize”と名乗るようになったんだ。その頃の音の特徴は、ヒップホップも好きだったこともあってティンバランドザ・ネプチューンズのようにドラムの音に力を入れたことや、クラブで鳴っているヒップホップのビートをエレクトロニックなレコードにしたことかな。

それと同時にレコードレーベル「BOYSNOIZE RECORDS」を始めたんだ。だけどBoys Noize名義での最初のリリースは、DJヘルが運営するレーベル「International Deejay Gigolo」から。ベルリンでDJを始めた2003、2004年くらいに、ウエスト・バムやDJヘルと共演したことがあったんだ。1990年代にラブパレードへ行っていた僕にとって、彼らはとにかく大きな存在で、間違いなく10代の頃から憧れていたヒーローだった。それで2人に僕のデモを渡したんだ。そしたら次の日にDJヘルから契約の電話がかかってきて。「International Deejay Gigolo」はとにかくクールなレーベルだし、本当に嬉しかった。そこからドイツだけでなく、イギリスや他の国でもギグを行うようになって、もうすべてがエキサイティングに始まったんだよ。……わあ、話しすぎたね(笑)。

DARUMA:ありがとう! すごく伝わりました(笑)。少し話を変えて、新型コロナウイルスによって世界中のクラブシーンが打撃を受けているけど、現在のベルリンのクラブシーンはどうかな?

アレックス:実は今、ベルリンじゃなくてポルトガルに住んでいるんだ(笑)。

DARUMA:え! ポルトガル!?

アレックス:(笑)。ポルトガルに来て1年半くらいになるんだ。コロナはいろいろなことをめちゃくちゃにしてくれたよね。スケジュールはスライドしたし、ライヴも減って、ヨーロッパのクラブシーンは動けない状況になってしまった。それに対して周りではたくさん論議も起きたし、スローペースになったことに対して苛立っている人も多かったけど、自分はコロナがまん延し始めた頃、ちょうどアルバム『STRICTLY BVNKER』を作り終えていたんだ。それがちょうどリコ・ナスティと作ったシングル「Girl Crush feat Rico Nasty」をリリースした時期で、すべてのライヴがキャンセルになってしまったよ。だったらさらに曲を作ろうと思って、ポルトガルに新しいスタジオを構えたんだ。コロナが長期戦になっているから、今もポルトガルにいるけど、おかげでクラブミュージックではないスタイルの曲も作るようになっているよ。基本的に僕はポシティブガイだから、できる限り状況に応じて、ベストなアウトプットができるよう心掛けているんだけど、早くこの状況から脱出して、とにかくライヴをやりたいね。

Boys Noize 「Girl Crush feat Rico Nasty」

DARUMA:なぜまたポルトガルに? 生活してみてどう?

アレックス:最高だよ! 自然があって海も遠くないし、特に子どもを育てるにはすごくいい環境だと思うよ。

DARUMA:子どもが生まれてから生活は変わった?

アレックス:娘は4歳半なんだけど、間違いなく特別なエナジーを持ってる。だからとても幸せで楽しいし、娘のおかげでヘルシーな生活を送れているよ。僕の生活の決定権は娘にあるね(笑)。だからツアーといったスケジュールも彼女を中心に考えたりする。100%アメージング(=素晴らしい)(笑)。

アーティストとの曲作りを通じて常にインスパイアを受けていたい

DARUMA:スクリレックスとBoys Noize、タイ・ダラー・サインで作った「Midnight Hour」がグラミー賞にノミネートされたのは、友達として誇らしかったよ! やっぱりDog Bloodでの活動があの作品のリリースにつながっていったんだよね?

アレックス:ソニー(=スクリレックス)とは長い付き合いなんだけど、2012年にベルリンに来た時に僕の家にステイしていて。その時に一緒にホームスタジオで曲を作ったのがDog Bloodのプロジェクトの始まりなんだ。スタジオで僕の後ろに座ってギアを触りながら、曲を聴くたびに「なんだ、これ~!」って(笑)。それで僕達は一緒に音を録音しだして、「NEXT ORDER」と「LITTLE THING」を「BOYS NOIZE RECORDS」からリリースしたんだ。今やあれから10年経ったけど、クレイジーにやっているよ。「Midnight Hour」に関しては、ソニーの誕生日に、同じ部屋で制作を実際に始めて、タイ・ダラー・サインにヴォーカルで入ってもらった。そうしたらそれがグラミーにノミネートされてしまったんだ。

DARUMA:Dog Bloodの今後の活動予定はある?

アレックス:ちょうど先日、お互いの曲について話をしたばかりだよ。お互い別なプロジェクトを抱えていたから、Dog Bloodに関しては少し距離を置いていたけど、新しいトラックもすでに準備できているから来年には新しいリリースができると思う。

Skrillex, Boys Noize & Ty Dolla $ign 「Midnight Hour」

DARUMA:アレックスは、スクリレックスやオアゾチリー・ゴンザレスA.G.クックと、さまざまなタイプのアーティストとセッションしているけど、キャラクターの違うアーティストとのコラボレーションができてしまうマインドは?

アレックス:みんな違うキャラクターを持っている人達で、僕にすごく影響を与えてくれるんだ。それと僕の中ではすべてがつながっているし、自分でも彼らとは違ったスキルを使って何をするのかを考えてる。チリー・ゴンザレスなんかは、本当に信じられないくらい素晴らしいミュージシャンで、僕にとっては夢の中の人だったんだ。だから一緒に曲を作れてこんなに幸せなことはないし、とにかく楽しいよ。僕自身がアーティストとの曲作りを通じて常にインスパイアを受けていたいし、そこで得たことをソロでの曲作りに戻った時にフィードバックさせることもできてる。昔の自分だったらやれていなかったかもしれないけど、今は良いバランスを取りながら制作できているよ。

DARUMA:レディ・ガガとの「RAIN ON ME」を初めて聴いた時、僕達のようなフレンチタッチ世代にとってはカシアスと同じネタ使いだったから超興奮したよ。どんな過程でレコーディングをしたの?

アレックス:ガガとはロサンゼルスにあるスタジオでレコーディングをしたんだけど、会ってすぐに互いにいいヴァイブスを感じることができたと思う。僕達は3曲を3日間で制作したんだ。だけどその後にメインプロデューサーにブラッドポップが入って、さらに彼の元で作られていったから、僕達が最初に作っていたのとはまた違ったものになったんだ。でもそのやり方はおもしろいなって思った。「RAIN ON ME」は自分が最初に書いてガガと作ったんだけど、複雑なプロセスを踏んでいってできあがった曲でもあるんだ。ビッグアーティストと曲を作るといろいろな人達が関与したがるからね。だけど僕はこの曲を書けたことをすごく嬉しく思ってる。

ダフト・パンクが解散してしまったことは本当に悲しいけど、未だに大好きだよ

DARUMA:ハウスの名門「Defected Records」からリリースした楽曲「MVINLINE(MAINLINE)」が大好きなんだけど、「Defected Records」から出すことにになった経緯や、ブラック・アイヴォリーの「Mainline」をネタに選んだ理由などを教えて。

Boys Noize 「Mvinline(Extended Mix)」

アレックス:「Defected Records」に関しては、レコード屋で働いていた時に一番初めにリリースされたレコードのことやその日のことだって覚えている。もちろんその後もリリースされてきた作品をチェックしていたし。もしも自分がハウスの曲を出すなら世界でもベストなハウスミュージックのレーベルからリリースしたいし、「Defected Records」は僕からすると最高なレコードレーベルだから、サイモン(「Defected Records」を主催するサイモン・ダンモア)に、Instagramからダイレクトメッセージを送ったんだ。それでトラックを送ったら非常に気に入ってくれてね。それで出そうってことになったんだ。サンプリング代の件もクリアになったしね。昨年リリースされた「Defected Records」の作品の中で、「MVINLINE(MAINLINE)」はビッグリリースの1つになったんじゃないかな。お互いハッピーになれたから、今新しいニューシングルのリリースも考えているよ。

DARUMA:僕とJOMMY(※連載に同席)は、B2Bでいつもこの曲をプレイしているんだよ!

アレックス:DARUMAは知ってると思うけど、僕はフレンチハウスやディスコハウスに影響を受けてきているから、毎年、3~4枚のディスコハウスのレコードをリリースしているんだ。ちなみに「MVINLINE(MAINLINE)」は2時間くらいで作ったんだけど、ディスコハウスはサッと作れる感じが良かったりする。それとダフト・パンクのように、サンプリングとビートを良いものにするといい曲ができるんだ。毎月この手の曲を作っているけど楽しいね。

DARUMA:ダフト・パンクの話が出たけど、解散はどう思った? アレックスは彼らのプライベートレーベル「ROULÉ」と「Crydamoure」のファンでもあるよね?

アレックス:僕がポストした投稿を見た?

※Boys Noizeがダフト・パンクに関してツイートした内容。
「bye DAFT PUNK Thank you for the music, you’ve truly been my biggest inspiration in music & production! Here a tribute mix of some of their records they put out on their own labels ROULÉ and CRYDAMOURE.
(和訳)「さようなら、DAFT PUNK 音楽をありがとう、僕の音楽とプロダクションに多大なインスピレーションを与えてくれた! こちらは、彼らのレーベルROULÉ とCRYDAMOUREから出たいくつかのレコードのトリビュートミックスです」

未だに大好きだから、解散してしまったことは本当に悲しいけど、そこで見えたのがレガシー(遺産)の終わり。
僕にとってダフト・パンクは、間違いなく影響を受けたアーティストのトップ3に入る。音楽的にもミュージックプロダクションにおいても、サンプルの使い方から、音の鳴りから、ただただ素晴らしい。最後のアルバムに関してもこれまでとは異なる新しいアプローチをしていたし。彼らはいろいろな側面でクラブミュージックのレベルを上げたと思っている。ベスト・フィルターディスコ&ハウスを作っただけでなく、ベストポップ、ベストライヴショー……。2007年のライヴは実にクレイジーだった。1993年あたりからずっとリリースをしてきたけど、これまでの経緯をたどってきて「何を次に目指して、ネクストレベルへ行くには何をすればいいんだろう」って考えていたと思うんだ。そこで見えたのが、レガシー(遺産)の終わりだった。クールにスムーズ にエンディングに向かってアプローチしていくことは、とてもハードなこと。僕自身もナーバスになったし、できれば彼らには次のアルバムをリリースしてもらいたいと願った。だけど常にベストを尽くしてきた彼らだから、理解できる部分もある。朝5時にパーティのフロアから帰りたくない、この場所から離れたくないと思うことがあるでしょう? 素晴らしいことだけど、その日のパーティはそこで一旦終わるんだ。トーマ(ダフト・パンクのトーマ・バンガルテル)がレーベルを作って、彼ら自身も自分のレーベルから曲をリリースして、僕にとってベストすぎるクラブミュージックだったから、ものすごくレーベルのファンでもあった。解散してしまったことは本当に悲しいけど、未だに大好きだよ。

DARUMA:めっちゃくちゃ理解できる意見です。5月に開催されたポーター・ロビンソン氏のオンラインフェス「SECRET SKY MUSIC FESTIVAL 2021」に出演していたけど、ポーター・ロビンソン氏との関係はどのように始まったの?

アレックス:ポーターとは数年前にソニー(スクリレックス)を介してアメリカで出会ったんだけど、その後何度かバーチャル・フェスティバルに誘われていたんだ。彼はすごくナイスガイで、僕とは異なるサウンドを作るけどそれが好きだったんだ。他にも彼の素晴らしいところは、新しいことを恐れずにやる人だっていうことかな。ポーターの最初の曲は、ソニーのレーベルからリリースされていると思うけど、本当に素晴らしい。だから「SECRET SKY MUSIC FESTIVAL」でプレイできたことは嬉しかったよ。とてもクールな世界観を作ってくれたし、僕は気に入っている。

「SECRET SKY MUSIC FESTIVAL 2021」でのBoys Noizeのプレイ

DARUMA:VRのフェスはすごく画期的だったと思うけど、どう感じた? 実は僕達PKCZ®も今、VRの中でライヴパフォーマンスをしたり、クラブを作ったりしているんだけど、ぜひ今度フェスが開催される時には一緒に出てほしいな。

アレックス:それはいいね! 僕は「SECRET SKY MUSIC FESTIVAL」で初めてVRフェスに挑戦したんだよ。自分で自分の姿を観ることはできなかったけど、すべてにおいてテクノロジーを感じられる新しい体験だったんじゃないかな。参加した人達もエキサイティングを感じたと思うし、自分にとってもこれまでにない感覚の体験だったよ。ファン同士がバーチャルで出会うとか、すごいことだよね(笑)。

DARUMA:最近の「BOYS NOIZE RECORDS」はどう? こないだリリースされたBoys Noize & Kelsey Luの「Ride Or Die feat. Chilly Gonzales」も大好き。まるでビョークの「Hyperballad」の現代版的な感じで、唯一無二の楽曲だと思ったよ。

Boys Noize & Kelsey Lu 「Ride Or Die feat. Chilly Gonzales」

アレックス:「Hyperballad」に近いっていうのは嬉しいな。この曲はとてもオーガニックに制作できたんだよ。基本的な部分をチリー・ゴンザレスが弾いて、ケルシーと僕とでアイデアを出し合って、彼女が歌って、僕がそれをモジュラーシステムでレコーディングしてって。これから別のバージョンの曲のリリースを予定しているけど、レーベルではクールで新しいアーティスト達とも契約をしているから、他にも期待していてほしいリリースはいくつかある。まずリリースを控えているのはBASECK。彼はエイフェックス・ツインのハードコアヴァージョンのようなんだけど、彼のモジュラーのスタイルで曲を録音、構築ししていることに影響を受けているよ。モジュラーはD.I.Y.だし、制作のプロセスはもちろん、ディストーション(ゆがみ、ねじれ)、フィルター、フレンジャー、これらのエフェクトを使えることが楽しいよね。それと先日、アナ・ランという女性アーティストのEPをリリースしたんだけど、彼女も素晴らしい。アナ・ランとはベルリンのパーティで知り合ったんだけど、僕の前に彼女がプレイしていて、それがすごくよかったんだ。それで彼女が曲を送ってくれたんだけど、コンテンポラリーアートとでもいうか、もうぶっとんだよ。彼女はイスラエル出身で、インスタレーションやライヴパフォーマンスもするし、DJで作る曲も良くて、もうすべてが素晴らしい(笑)。ぜひチェックしてほしい。

DARUMA:では今後の予定を教えてください。

アレックス:いくつかのギグがあるので、そろそろツアーに出掛けられそうな予感はしている。たぶん秋にはアメリカやイギリスでもプレイできそうかな。ノーマルな生活に戻れたら、日本にもすごく行きたい。来年の春には行けるんじゃないかな。

DARUMA:ぜひ、アフターコロナには来てほしいよ。最後に日本のファンにメッセージを!

アレックス:いつもサポートしてくれてありがとう。日本が恋しいよ。日本の僕のすべての友達とまた会えることを楽しみにしている。それまで僕の曲や、リリースされるものをチェックして待ってて!

DARUMA:今日はありがとう!

ボーイズ・ノイズ
エレクトロニックサウンドを軸に活躍するDJ/サウンドプロデューサー。1982年生まれ、ハンブルグ出身。本名アレックス・リダ。10代の頃よりDJとして活動を開始し、KID ALEX名義で楽曲をリリース。20歳の時にベルリンへ移住し、Boys Noize名義にて活動を開始。同時に自身のレコードレーベル「BOYS NOIZE RECORDS」を発足する。2007年にリリースされたデビューアルバム『Oi Oi Oi』が世界的な大ヒットを生み、以後、世界各国のパーティに出演。その傍らビッグネームとの楽曲制作やリミックスなども手掛け、スクリレックス、タイ・ダラー・サインとともに制作した「Midnight Hour」はグラミー賞にノミネートした。7月22日には、デュアルシングル「Nude feat. Tommy Cash」「Xpress Yourself」 がリリース。
Instagram:@boysnoize@boysnoizerecords
New Single!!:https://boysnoize.ffm.to/nude

Text Kana Yoshioka

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