山本大樹, Author at TOKION - カッティングエッジなカルチャー&ファッション情報 https://tokion.jp/author/daiki-yamamoto/ Fri, 03 Dec 2021 06:09:05 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.3.4 https://image.tokion.jp/wp-content/uploads/2020/06/cropped-logo-square-nb-32x32.png 山本大樹, Author at TOKION - カッティングエッジなカルチャー&ファッション情報 https://tokion.jp/author/daiki-yamamoto/ 32 32 「つらいことも、笑ってもらえるなら意味がある」 かが屋・加賀翔が初小説に込めた“笑い”による希望 https://tokion.jp/2021/12/06/sho-kaga/ Mon, 06 Dec 2021 06:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=81119 11月10日に自身初の小説『おおあんごう』を上梓したかが屋・加賀翔。初の小説執筆を終えた今の思いを聞く。

The post 「つらいことも、笑ってもらえるなら意味がある」 かが屋・加賀翔が初小説に込めた“笑い”による希望 appeared first on TOKION - カッティングエッジなカルチャー&ファッション情報.

]]>

『キングオブコント2019』で決勝進出を果たして以来、人間の心の機微を描き出すコント師として唯一無二の存在感を放っているかが屋・加賀翔。11月10日に上梓した自身初の小説『おおあんごう』(講談社)は、故郷・岡山で破天荒な父親に振り回されながら、“笑い”によって自身の境遇を受け入れていった加賀の私小説的な作品だ。

痛みも悲しみも、誰かに話すことによって救われる──。主人公の少年・草野の挫折と成長は、理不尽なことやしんどいことも笑いに昇華する「芸人」という職業の不思議な感性にも重なっている。

初の小説執筆を終え、「自分にしか書けない物語だった」と振り返った加賀が語る、少年時代の記憶と「お笑い」の話。

「本当に、お笑いがない場所で育ったんです」

──初めての小説執筆となった今回、生まれ育った岡山での経験を描こうと思ったのはどんな気持ちからだったのでしょうか。

加賀翔(以下、加賀):1年半前に、以前『群像』で書いたエッセイをもとに小説を書きませんか、というお話をいただいて。最初は『おおあんごう』とはまったく違う物語を書いていたんです。でも、なんか自分の話じゃないという感じがして。やっぱり初めて小説を書く人は、自分の通ってきた経験からヒントを得て書くんじゃないかと思ったんです。それで、そこから逃げずに自分の地元や家族と向き合って書こうと思いました。全部が実体験ではないし基本的にはフィクションですけど、もし映像化するなら父親役はやっぱり自分の父親になるだろうし、舞台も僕が育った地元になると思います。

──『おおあんごう』では、「誰かに話すことで救われる」というのが1つのテーマになっていたように感じました。主人公の草野くんは、破天荒な父親とのひどいエピソードも親友にしゃべって笑い話にすることで、少しだけ救われるというか。

加賀:僕が育ったのは、本当に“お笑い”感覚のない地域だったんです。つらい話はつらいし、悲しい話は悲しい。それを面白がることって失礼じゃないかっていう空気があったんです。「でも、それって救われないよな」っていう気持ちがすごくあって。つらい話も、誰かが笑ってくれたら意味があるように思えるじゃないですか。「つらいよね」って同情してくれても、それで助かる時もありますけど、やっぱり気持ちは晴れないし。「笑えてもらえてラッキー」っていう感覚があったほうが、やっぱり楽なんですよね。もし今つらい思いをしている子がいたら、そういう考え方もあるよっていうのを伝えたい気持ちはありました。

──加賀さんの中にも、子どもの頃からそういう感覚があったんですか?

加賀:僕はけっこう最初から父親のことは面白がっていて、「頭おかしいよ」ってずっと思ってましたね(笑)。友達のお父さんはみんなちゃんとしているのに、僕のお父さんは運動会に酒を持ってきて、「行けオラア!」って競馬場で叫んでいるみたいに騒いでるような人でしたから。顔もカッコよくて背も高かったから、それで周りのお母さんからチヤホヤされたりして……。承認欲求を満たすために子どものイベントに来るような、そういう人でした(笑)。ただ、僕はそういうのを面白いと思って周りの人に話してましたけど、みんなは引いてましたね。

──ああ……。

加賀:僕の話術の力量不足でもあるんですけど、「大丈夫……?」って逆に心配されちゃったりして。やっぱり僕みたいに面白がれる子ばっかりじゃないよなと思って、小説では自分と感覚の違う子を主人公にしたいっていう気持ちはありましたね。

──芸人さんも、「これはしんどいな」っていう話も笑いに変えることができるお仕事だと思うんです。

加賀:そうだと思います。「これはキツいって……」みたいな笑えないこともありますけど、そういうことも「さすがにしんどいわ」って言葉にしてしゃべっちゃいます。もしお笑いがなかったら、もっとそのしんどさを食らってると思うんで。

──お笑いがあることで、少しだけつらいことも緩和される。

加賀:昔なにかのライブの時に、占い師さんが芸人を占うっていう企画があって。そこで占い師さんに「しんどいなあって思うことが多いでしょ。でも、他の人だったらもっとしんどいって感じてるよ」って言われたんです。もしかしたらお笑い芸人ってみんなそうなんじゃないかと思ったし、なぜか印象に残りましたね。小説を書いている時も、一瞬だけその時のことを思い出しました。お笑い芸人ってそういう能力に長けていると思うんです。本当は結構つらいのに、バイトをクビになった話とかめっちゃ言うじゃないですか(笑)。

──確かに、貧乏だった話とか苦労した話も楽しそうに聞こえますよね。

加賀:事務所の先輩とライブの楽屋で一緒になると、「夜勤がしんどかった」っていう話が一番盛り上がりますもんね(笑)。売れてる先輩とかもみんなそういう話を明るくしゃべりますし。今が楽しいって思えるように自分でスパイスを加えるというか……みんな、草野くんみたいにいろいろ考えているんだろうなと思います。

他人が変わることに期待するよりも自分を変える

──『おおあんごう』では、何度も痛い目に遭ってるのにまったく懲りないお父さんの姿にも、加賀さんの人間観がにじみ出ているような気がしました。

加賀:そうかもしれません。小説の中にも出てくるエピソードですけど、実際に父と東京で会ったことがあるんです。その時も父はちゃんとお酒を飲んでいて(笑)。やっぱり人間って変わらないんですよね。だから本当はハッピーエンドにしてあげたかったけど、草野くんの向こうに見え隠れしている自分に申し訳なかったというか……。そういうのを受け入れて書くのが、自分が背負っている業なんだろうなと思って書きました。

──でも、変わらなくてもいいし、別にいい人にならなくてもいいんじゃないかという優しさも感じました。

加賀:ちゃんとムカつきますけど、ちょっとずつそうやって思えるようになっていけたらなって自分に言い聞かせているところもありました。誰かが変わることを期待するのはあんまり意味がないし、自分が変わったほうが絶対に早いっていうのは、僕の人生の前半戦で学んだことですね。

──草野くん自身も、懲りないお父さんとの受け入れ方や距離感を少しずつ身につけていって……

加賀:草野くんがいろいろ頑張って、試したところを評価してあげてほしいですよね。勇気を出して反発してみるとか、受け入れようと思ってみるとか、面白がってみるとか、いろんなやり方を試していけたらいいんだろうなと思います。

──親友の伊勢くんの存在もすごく大きかったですよね。

加賀:僕も「いいなあ」って思いました。こんなにいい友達がいてよかったね、って(笑)。もともと伊勢くんは登場する予定はなかったんですけど、編集の方が「話ができる親友が出てくるのもいいんじゃないですか?」ってアドバイスしてくださって。自分の想像の中からは出てこなかったアイデアなんで、ありがたかったです。

背伸びをせず、素直な言葉を紡ぐこと

──加賀さんはもともと読書が好きだったそうですが、特に好きな作家や影響を受けた作家はいますか?

加賀:一番の影響で言えば又吉直樹さんです。昔、『王様のブランチ』で紹介されていた又吉さんとせきしろさんの自由律俳句の本『まさかジープで来るとは』を読んで、衝撃を受けました。「これは人生変わるわ」ってくらいの衝撃で。そのあと、又吉さんの『第2図書係補佐』という本を紹介するエッセイを読んで。そこからいしいしんじさん、西加奈子さん、中村文則さん、古井由吉さん……といろんな作家さんの小説を読むようになりました。

──そうした読書体験は、執筆にも影響があったのでしょうか。

加賀:いや、僕がそこから何かを得て小説に生かそうと思ったことはほとんどなくて。本当にプロとアマチュアの差ってすごいんです。書いているうちに、自分のボキャブラリーのなさを痛感するわけですよね。だからこそ、モノマネはやめようと思って。背伸びして中村文則さんとか古井由吉さんのようなすごい文章を書こうとか、そういうことは考えずに。ちゃんと自分の言葉で、素直に無理せず書こうと思いました。同じ岡山出身の重松清さんもめっちゃ好きなんで、岡山弁がバリバリ出てるのはちょっとどうなんだろう……って思ったりもしたんですけど。でも、そこも隠さずに素直に書こうと思いました。

小説を書いたことで、幼少期のすべてが報われた

──今回、『おおあんごう』を書き上げたことで、故郷の岡山への気持ちや過去の捉え方も変わりました?

加賀:僕、昔は岡山を出たくて仕方なかったんです。岡山弁も怖いし、「おおあんごう」っていう言葉もすごい嫌だったんですよ。でもお笑い芸人になってから岡山の話も笑ってもらえるようになったり、こうやって小説を書かせてもらったりしているうちに、あの時の全部が報われたなっていう気持ちになりました。今はもう、岡山のためになんでもやりたいです(笑)。

──芸人仲間や先輩からも感想をいただいたりしましたか?

加賀:僕と同じようにちょっと複雑な家庭環境で育った人ほど「よかった、わかるわー!」って言ってくれます(笑)。あとは「壮絶やな」みたいに言ってくれて、肩をポンポンと叩いてくれる先輩も増えましたね。

──そして11月20日の『王様のブランチ』では、BOOKランキングで1位を獲得しました。

加賀:さっきそれを知ってインタビューの直前まではしゃいでました(笑)。昔、パンサーの向井さんと又吉さん、サルゴリラの児玉智洋さんが3人でやっているラジオにゲストで呼んでもらった時に、「本が好きなんです」っていう話をしたんですよ。だから『王様のブランチ』で、僕の本が1位になっているのを見て向井さんが「おお〜」って顔をしていて。それを見たら感無量でしたね、やっぱり。

──読者からの反響も感じていますか?

加賀:そうですね、少しずつではありますけど。今まではお笑いが好きな人しか僕らのコントを見てもらえなかったんですけど、小説になると本当にいろんな人に読んでもらえるじゃないですか。僕がお笑い芸人だって知らない方からも感想のお手紙やコメントをいただくこともあって、うれしかったです。その一方で、お笑い芸人ってやっぱり一般の人とは感覚がズレてるのかな……っていうのも感じていて。だからちゃんと歩み寄らないといけないし、「こっちが正しいでしょ」っていう振る舞いをするのは危険だなと感じました。

──「ズレ」と言うと?

加賀:この小説を僕は笑ってほしいと思って書いたつもりでも、読んでくれた方から「しんどかった、つらかった」っていう感想をいただくこともあって。それが胸に刺さりました。でも、それは「書かないほうがよかった」というわけじゃなくて。自分の力量不足なところも絶対にあるんですけど、これは僕にしか書けない話だと思うし、単純に「もっと上手くなりたい」って思いました。読者の方々からの感想を通じて、世の中には本当にいろんな考え方や感じ方がある、ということを実感できたのが本当によかったです。

──「上手くなりたい」ということは、2作目も考えているのでしょうか?

加賀:ちょっとだけです、ちょっとだけ。あんまり言うと「書きましょう」って話になるかもしれないので……(笑)。僕が勝手に書くぶんにはいいと思うんですけど、やっぱり大変ですよね。単独ライブも、毎回5分とか10分の新ネタを7本くらい作るんですけど、そういう時期って本当にキツいんです。でも、いざ始まったらお客さんが笑ってくれて、楽屋に戻ったらすぐ「次もやりたいな」っていう気持ちになってるんですよ。あんなに大変だったのに……。だから今は書きたいなっていう気持ちになっているんですけど、ちょっと自分でセーブしてます(笑)。でも人生でもう1冊は絶対に書きたいですね。

加賀翔(かが・しょう)
1993年、岡山県生まれ。マセキ芸能社所属のお笑い芸人。相方の賀屋壮也と2015年に「かが屋」を結成。『キングオブコント2019』では決勝に進出。ラジオ・バラエティ番組の他、趣味の短歌と自由律俳句のイベントにも出演しマルチに活躍中。
https://www.maseki.co.jp/talent/kagaya
Instagram:@kagaya_kaga
https://www.youtube.com/channel/UCbJFVj5Zp7NVzOxAj75F7GQ

おおあんごう 加賀翔

■おおあんごう
著者:加賀翔
発売日:2021年11月10日
価格:¥1,540
判型:四六
ページ数:178ページ
出版社:講談社
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000358080

Photography Masashi Ura

The post 「つらいことも、笑ってもらえるなら意味がある」 かが屋・加賀翔が初小説に込めた“笑い”による希望 appeared first on TOKION - カッティングエッジなカルチャー&ファッション情報.

]]>
「今が一番、自然体」 新潟・古町を拠点にデビュー10周年を迎えたRYUTistが振り返る“成長の日々” https://tokion.jp/2021/07/24/ryutist/ Sat, 24 Jul 2021 12:00:00 +0000 https://tokion.jp/?p=48413 デビュー10周年を迎える4人組のアイドルユニット、RYUTistが歌ってきた楽曲への思いと、10年間のグループの歩みを振り返る。

The post 「今が一番、自然体」 新潟・古町を拠点にデビュー10周年を迎えたRYUTistが振り返る“成長の日々” appeared first on TOKION - カッティングエッジなカルチャー&ファッション情報.

]]>
RYUTistのメンバー。左から五十嵐夢羽、宇野友恵、佐藤乃々子、横山実郁

かつて花街として栄えた新潟・古町。レトロな風情が漂う町で、ゆっくりと地元に根を張り、愛されてきたアイドルがいる。今年でデビュー10周年を迎える4人組のアイドルユニット、RYUTist(リューティスト)だ。

昨年8月には、蓮沼執太や柴田聡子等を作編曲に迎えた4thアルバム『ファルセット』が音楽ファンからも注目を集めた。そして今年5月には君島大空プロデュースによるシングル「水硝子(みずがらす)」をリリースするなど、現在のインディーポップシーンを象徴する音楽家達とともに、ご当地アイドルグループの新境地を切り開いている。

今年8月9日には結成10周年ライブを控える彼女達。デビュー期から紆余曲折を経て地元を代表するアイドルとなった今、口をそろえて「今が一番、自然体」と語る。

これまでRYUTistが歌ってきた楽曲への思いと、10年間のグループの歩みを振り返ってもらった。

緻密なサウンドを乗りこなし、4人の感情が綺麗にそろった

——先日、アナログ盤でもリリースされた「水硝子」、メンバーのみなさんの手応えはいかがですか?

佐藤乃々子(以下、佐藤):5月のデジタル配信の時には、本当にたくさんの方から反響をいただきました。Twitterでも「良かった」って感想を書いてくれている方がいっぱいいて嬉しかったです。

横山実郁(以下、横山):いろんな人のプレイリストに「水硝子」を入れていただいて。メジャーなアーティストさんの中にRYUTistの名前が並んでるのが嬉しかったし、今まで私達のことを知らなかった人にも知ってもらえるきっかけになったのかな、って。

——かなり複雑で緻密なサウンドの楽曲ですが、初めて君島さんのデモを聴いた時はどんな感想を持ちましたか?

横山:最初、ケータイ壊れちゃったのかと思いました(笑)。

五十嵐夢羽(以下、五十嵐):ははは(笑)。でも、それくらい初めて聴く感じの曲だったよね。

宇野友恵(以下、宇野):イントロからいろんな音が混ざってて、「どこから音が出てるの?」って(笑)。

——歌い方のイメージをつかむのも難しそうですよね。

宇野:今までのRYUTistの楽曲はウィスパーボイスで歌うことがなかったので、「どういうふうに声を出したらいいんだろう」って悩みました。

五十嵐:でも、本番のレコーディングでは気持ちよく歌えて。いざ歌ってみたら、すごく歌いやすかったです。

佐藤:私もウィスパー気味に歌うのがすごく難しかったんですけど、レコーディングでは4人の歌声がすごく心地よく聴こえました。

横山:今までのRYUTistって、声で表現するのがあんまり得意じゃなくて、ちょっとぶっきらぼうに聴こえてしまったり、無機質に聴こえてしまうことが多くて。だから、声に感情を乗せることをずっと課題にして練習してたんです。でも、今回の「水硝子」は4人の感情がメロディーにぴったりハマった気がします。

——歌詞もちょっと不思議な情景が浮かんでくるというか、詩的なフレーズが多い印象です。

横山:歌詞も難しかったよね。

佐藤:小説みたいだよね。最初に歌詞カードを見た時に「膝を抱えたままのあなた」っていう言葉が出てきたから、気分が落ち込んでいる人を優しく包み込んであげるような歌なのかなって。

宇野:曲の最後は「この世の外れで膝を抱えたままのあなたの手を やっと掴んで あなたとぎゅっと硝子になるの!」って歌詞なんですけど、自分が誰かを救い出してあげるというか、助けてあげるっていう気持ちなのかなって。優しい気持ちで。

五十嵐:私もみんなと似てるんですけど、自分自身も水の中にいて、硝子に覆われて、自分も浮かんでいるようなイメージで……。

横山:ミクもそれに近いかも。AメロBメロは自分のなかに閉じこもっている感じなんですよ。でも、サビの前の「駆け出す」ってぱーっと視界が広がって、空に飛び出していくみたいな……わかる?

全員:わかる!

佐藤:すっと立ち上がる……みたいな感じだよね。

横山:リリースしたあとに、君島さんがTwitterで「好きな人の心に飛びこむ歌です」って言ってて、「そういう意味だったんだ!」って新しい発見もあって。そこからまた、歌う時の意識も変わりました。

配信ライブならではの魅力を見つけた2020年

——昨年はこれまでのようにライブができない中で、8月に4thアルバム『ファルセット』をリリースしました。蓮沼執太さんや柴田聡子さんなど、楽曲制作陣もすごく豪華な方々ですよね。

宇野:柴田聡子さんはずっと好きだったので、楽曲の話を聞いた時はすごくびっくりしました。『ファルセット』に関わってくれたのは、私達も普段から聴いているミュージシャンの方ばかりで、そういう人達に自分達の曲を作ってもらうっていうのはいつも不思議な気持ちになります。

佐藤:いつもレーベルの南波(一海)さんやマネージャーの安部(博明)さんから「今回はこの方に作ってもらったんだよ」って教えていただくんですけど、毎回びっくりするよね。

横山:みなさんが本当にいい曲を作ってくださるので、それを大切に表現するのが私達の役割だなって。

——メンバーのみなさんも楽曲に対してすごくストイックに取り組んでいる印象を受けます。

佐藤:そう言ってもらえることも増えたんですけど、なんだろう……当たり前だと思ってずっとやってきたのかな。

宇野:周りの方に「めっちゃ練習するんだね」って言われるんですけど、自分達ではあんまりそういう感覚はないというか。「ここがまだダメだよね」「もっとこうしなきゃ」ってひとつひとつ課題をクリアするために頑張ろう、って。

——ストイックに練習するのは当たり前という感覚なんですね。オンラインライブが中心だった昨年の1年を振り返って、音楽的にも成長できた部分もありますか?

佐藤:やっぱり『ファルセット』のリリースと、オンラインライブの「ファルセットよ、響け。」が大きかったよね。

横山:ね。コロナで今まで通りにライブはできなかったけど、今だからできることをたくさんできた1年だったかなって。

佐藤:あと、「ファルセットよ、響け。」で初めてイヤモニをつけてライブができたのも成長かな。普段はマイクで歌った声をそのまま聴いてたけど、イヤモニで聴くと全然違って。

宇野:「RYUTist、イヤモニもいいね」って言ってもらえたり。

五十嵐:私は初めて配信でライブをやった時の緊張感が印象に残ってて……。最初はお客さんも見えないし、拍手もない中でライブするのが怖かった。でも、最近はだんだん余裕ができて、コメントを読んだりカメラにアピールしたりするのも楽しくなってきて。だからメンタルも強くなったのかなって思います。もちろんお客さんを入れてライブしたいけど、アウェイな環境でもパフォーマンスできるようになったと思う。

佐藤:みんな、最初は配信ライブでカメラ向けられると恥ずかしがってたもんね(笑)。

五十嵐:今はもう「カメラさん、ここ撮ってください!」ってオーダーまでするようになって。

横山:そうそう、私達のバースデーライブはお誕生日のメンバーがライブをプロデュースするんですけど、「この楽曲は前撮りで録画して、手でレンズを隠したら生配信につながるようにしたいです」とか。そういうのを自分達で考えるようになりました。

——すごい。そういうアイデアも、配信ライブならではですね。

五十嵐:普通のライブだとなかなかできないもんね。配信ライブのいいところを見つけられたと思う。

横山:今まではお客さんがいたから歌って踊ることに集中していたんですけど、自分達をどういうふうに見せたいか、どうやって楽曲の雰囲気を伝えるか、っていうのをメンバーのなかでも話し合うようになって。「ライブを作ってる」っていう感じです。

——ライブでこれから挑戦してみたいことってありますか?

横山:1カメで、カット割なしの配信ライブとかやってみたいです。それでかっこよくダンスとかを見せたら臨場感もありそうだなって。

宇野:屋外でライブできるようになったら……水鉄砲?

佐藤:水鉄砲やりたいよね〜。

五十嵐:上から風船が降ってくるやつとか。

横山:舞台の下からジャンプして登場するやつもやりたい!

——アクロバティック志向ですね。

横山:宙吊りになって空を飛ぶやつもやりたい!

CM出演をきっかけに、新潟で知られる存在に

——今年7月でRYUTistとして結成10周年を迎えました。実感はわいてますか?

佐藤:全然、ないです! いつまでも新人感っていうか、いい意味でも、悪い意味でも……。

横山:なんでだろうね?

佐藤:ネクストブレイクアイドルってずっと言ってもらってるんですけど、いつブレイクするのかなって(笑)。

宇野:2013年くらいからずっと言われてるよね。

——でも、10年も経つとそれぞれ変化しているんじゃないですか?

宇野:私はだいぶ落ち着いたかも。デビューした時は不思議ちゃんキャラみたいな感じでキャピキャピしてたけど……。最近は本を読んだり、パソコンをいじってみたり、いろいろ勉強してます(笑)。

五十嵐:私は小学5年生でRYUTistに入って、その時に比べたら身長がすごい伸びました(笑)。140センチくらいだったけど、今は156センチなので。

横山:私、なんにも変わってない気がする(笑)。最年少なんで、ほかのメンバーに甘えてます。

宇野:ずっと小学生みたいだもんね(笑)。

五十嵐:入って来た時のほうが大人だったよね。でも今は……。

横山:お姉さん達に可愛がってもらってます(笑)。

佐藤:最初はみんなやんちゃな時期もあったり、途中ですごい落ち着いて、あんまりしゃべらないロボットみたいな時期もあったり……。でも、今はエンジョイ期というか、みんな素が出せてるし、メンバーもみんな仲がよくて楽しいです。

宇野:ライブでも、みんな自分の意見を言えるようになったよね。だから今、一番いい時期なんじゃないかな?

佐藤:いろいろ変化もあったけど、今が一番、自分達らしくて、自然体だよね。

——活動を始めた頃と比べて、新潟での知名度もだいぶ上がっているのではないでしょうか?

五十嵐:デビューして2年目くらいの頃は、新潟でわりと賑わってる万代っていう街で衣装着て全力で踊ったりしたんですけど、誰にも声をかけられなくて。

宇野:あった、あった。「衣装着て踊ってたら声をかけてもらえるかな?」って挑戦してたんですけど、誰にも声をかけられなくて。今やったらどうだろうね?

五十嵐:さすがに気づいてもらえるよ! だって「万代シテイ」の看板に私達が出てる広告も貼っていただいてるし。

佐藤:最近はファンの方以外でも、知ってくれてる人が増えたよね。

宇野:NegiccoさんとかNGT48さんと間違えられることも多かったんですけど、やっと「RYUTistさんね」って言ってもらえるようになりました。

——地元の人に知ってもらえるようになったきっかけはあったんですか?

全員:CM!

宇野:2017年から「新潟ろうきん」さんのCMに出演させていただいてるんですけど、それから声をかけてもらえるようになりました。

横山:「ろうきんのCMの子だ!」って言われるもんね。

五十嵐:RYUTistのことを知らない人でも、「新潟ろうきんさんの……」って言ったら「ああ、あの子達ね」って言ってもらえるもんね。

RYUTistが好きってことを、誇りに思ってもらえるように

——これだけ長い時間一緒にいると、思い出もたくさんありそうですよね。1つだけ挙げるのは難しいと思いますが……。

佐藤:えー! 難しい!

横山:遠征に行く時はホテルに泊まるんですけど、メンバーみんなで誰かのお部屋に集まっておしゃべりするんですよ。それがすごい好き。

宇野:ライブの話をするのかと思ったら(笑)。

佐藤:でも楽しいよね、すごいわかる。

横山:あと、遠征だと2016年の「佐渡金銀山応援ツアー」も楽しかったよね。ファンの方とバスツアーで佐渡に行ったんですけど、いろんな観光地をめぐりながらバスガイドさんみたいなこともやらせてもらって。あんなに長い時間、ファンの方と交流することもなかったし、帰りの船でライブしたのもすっごく楽しくて。

宇野:私はやっぱり去年の「ファルセットよ、響け。」かなあ。普段のライブだと準備期間も短くてバタバタなんですけど、この時は1ヵ月半くらい時間をかけてみんな練習したんです。でも、当日が土砂降りで。

佐藤:ひょうとかも降ってたもんね。

宇野:でも、ライブの時間になったら奇跡的に晴れたんです。それがもう感動したし、すっごくいい思い出。

横山:いい音楽といいお客さんに恵まれて、いいライブしてるなって思った。

宇野:むうたんは?

五十嵐:えー! 全部いい思い出なんだけど……。2018年に渋谷のタワーレコードさんでリリースライブをしたときに、「黄昏のダイアリー」のサビの「流星〜」ってところが今まででも歴代最高に上手に歌えて。その時が一番うまくいった。

宇野:え、その時から更新されてないの!?(笑)

五十嵐:あ、違う違う!(笑)なんて言うんだろう、サビのパートをいっつも練習してたから、上手く歌えた時はすごい嬉しくて。練習までは本当に上手くいかなかったから、見にきてくれてるお客さんのパワーとか全部が乗っかって、上手く歌えたんだろうなって実感しました。

——なるほど。リーダーの佐藤さんはいかがでしょう?

佐藤:私は……ファンの方とのハロウィンライブ。

全員:ああ〜!

佐藤:毎年、ハロウィンライブはファンの人が仮装して来てくれるんです。それで1人ずつ動画を撮って、誰が一番いい仮装なのかを決めるコンテストをやってるんですけど、みなさんクオリティーがすごく高くて。

宇野:毎年どんどんハイレベルになってるよね。

佐藤:ぜひみなさんに見てほしいくらい、すごく気合の入った仮装なんです。コロナが落ち着いたらまたやりたいよね。

横山:古町には「ドカベン」の像があるんですけど、体を銅像と同じ色に塗ってドカベンの銅像の仮装をしてる人がいて(笑)。

佐藤:どっちが本物かわかんないくらいだったよね(笑)。

——それはぜひ観に行きたいです……。最後に、これからの10年に向けて。どんなアイドルグループになっていきたいですか?

佐藤:子供から大人まで、老若男女に愛されるアイドルになりたいです。あと、お子さんだけを集めたライブとかもやってみたいよね。それくらい、子供達からも好かれるアイドルになりたいです。

五十嵐:ほかのアイドルさんから憧れられる存在になりたいです。「RYUTistさんいつも見てます!」って、ほかのアイドルさんから言ってもらえたら嬉しいなって。

宇野:私はもともとハロプロの℃-uteさんに憧れてアイドルになったんですけど、℃-uteさんみたいに歌もダンスもかっこいいって言われるようなアイドルになりたい。

横山:私は……つらい時とか、落ち込んだ時に、ファンの方の心の支えになるようなアイドルになりたい。RYUTistが好きでいることを自慢できる、誇りに思ってもらえるような存在になりたいです。

RYUTist(リューティスト)
メンバーはリーダーの佐藤乃々子、宇野友恵、五十嵐夢羽、横山実郁の4人組。全員が新潟生まれ新潟育ち。2011年5月に行った「アイドルユニットオーディション」で選ばれたメンバーによって結成。2016年4月23日に横山実郁を加えて再始動。新潟市を表す「柳都(りゅうと)」という言葉に、「アーティスト」を加え、「新潟のアーティスト」という意味を込めて「RYUTist」と名付けた。新潟市古町7番町「LIVEHOUSE 新潟SHOW!CASE!!」を中心にライブ活動を行い、その他全国各地の各種イベントにも出演。幅広い世代のミュージシャンから提供を受ける楽曲の質の高さはアイドルファンのみならずかつてのギターポップの系譜を好む音楽好きにも支持され、Spotify公式プレイリスト「Best of 2018 Women’s Voice」に「無重力ファンタジア」が選ばれるなど着実にその知名度を上げている。2020年の4thフルアルバム『ファルセット』をリリース。2021年7月にデビュー10周年を迎えた。
https://ryutist.jp
Twitter:@RYUTist_info
YouTube:https://www.youtube.com/user/RYUTist/videos

■10th Anniversary RYUTist“ HALL”LIVE @りゅーとぴあ 劇場
日時:2021年8月9日(祝日)開場16:00 / 開演17:00
料金:全席指定 ¥7,000 親子ペア席1組¥7,000
場所:りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場
https://eplus.jp/ryutist/

The post 「今が一番、自然体」 新潟・古町を拠点にデビュー10周年を迎えたRYUTistが振り返る“成長の日々” appeared first on TOKION - カッティングエッジなカルチャー&ファッション情報.

]]>